「神学部って、神父になるための学部じゃないの?」
「実はそれ、半分正解で、半分は大きな誤解なんです。」
上智大学神学部には、たしかに宗教職を目指す学生もいます。でも、それだけではありません。むしろ多くの学生が、神学という“思考の技術”を通じて、社会や人間を深く見つめ、まったく別の分野で活躍していきます。
この記事では、そんな神学部の“本当の姿”を、保護者の皆さんの視点で、丁寧にお伝えしていきます。
宗教だけじゃない。「神学」という学びの意味
「神学」という言葉には、どこか近づきにくい印象があるかもしれません。でも、神学とは本来、「人間と世界を、神という概念を通して深く問い直す営み」です。
上智大学神学部では、キリスト教神学を基盤としながら、哲学・倫理学・宗教思想史・聖書学・文化論・現代社会論などを横断的に学びます。
つまり、神学とは「宗教を“信じる”ために学ぶ」だけでなく、「宗教を“通して考える”」ための学びなのです。だからこそ、信仰の有無にかかわらず、多様な学生が集まっているのです。
就職にどうつながるの?“問い続ける力”の価値
「神学部って、卒業してからどうするの?」
これもよくある質問です。結論から言えば、神学部出身の学生は次のような進路に進んでいます:
- 出版・報道・メディア系
- 教育関係(学校・大学職員など)
- 一般企業(人事・広報・営業など)
- 公務員やNPO、NGOなどの社会的活動分野
- 神学研究、宗教職(教会関係など)
神学部の学びは、数字や技術ではなく「人間そのもの」を考える学びです。そのため、他者への理解や倫理観、問いを持ち続ける姿勢が身につきます。これは、どんな職業でも求められる“人としての土台”なのです。
「答えのない問いと向き合う力」。それが、上智神学部で得られる最大の資産かもしれません。
神学部の学生ってどんな人?信仰は必要?
神学部にいる学生は、必ずしも全員がキリスト教徒というわけではありません。
実際には、こんな学生が多く在籍しています:
- 倫理や哲学、思想に関心がある
- 宗教や文化の比較に興味がある
- SDGsや平和学、社会正義といったテーマに関心がある
- 「自分は何者か」「どう生きるべきか」を真剣に考えたい
宗教的背景は関係ありません。信仰は自由であり、むしろ多様な立場から神学を見つめることが歓迎されている学部です。
雰囲気としては、穏やかで思慮深く、自分の意見を持ちながら他者にも敬意を払える学生が多い印象です。派手さはありませんが、静かに知的な刺激があふれる学び舎です。
数字では測れない“合う子”の特徴
上智大学神学部に合っているのは、次のようなタイプのお子さんです:
- 勉強というより、「考えること」が好き
- 単なる就職のためでなく、“自分の軸”を探したい
- 哲学や倫理、歴史、文化といった広い視野を持っている
- 自分の考えを言葉で伝えるのが得意
- 他者や社会に対して誠実でありたいという思いがある
保護者としては、「学んだあと、何になるのか?」という問いが当然あると思います。でも、神学部はむしろ「どんな人になるか」を大切にする場所です。
偏差値・入試制度について(パスナビ参照)
パスナビ(旺文社)によると、上智大学神学部の偏差値は55(2024年度参考)です。
※出典:https://passnavi.obunsha.co.jp/univ/2470/difficulty/
入試制度は、一般選抜のほかにTEAP利用型、共通テスト併用型、カトリック推薦型入試などがあります。英語力を重視する傾向がありますが、小論文や面接を含む形式もあり、「自分の言葉で考えを表現する力」が重視される入試です。
学費・立地・学部の規模感
神学部の学費は、上智大学の他の文系学部と大きく変わりません。私立文系大学としては平均的な水準で、奨学金制度や学費減免制度も利用可能です。
キャンパスは東京都千代田区・四ツ谷駅すぐの本部キャンパス。都市型でありながら落ち着きがあり、少人数学部である神学部は、特に教授との距離も近い学びの場です。
講義はじっくり深く、自分の思考を言葉にする訓練が自然と積まれていきます。
保護者や学生の声(リアルな言葉)
「最初は“神学”って何を学ぶのか分からず不安でした。でも、息子が“考えることの意味”を楽しそうに話すようになり、この学部を選んでよかったと今では思います。」(保護者・埼玉県)
「宗教の勉強というより、“人とは何か”を考える時間でした。今は企業で人事として働いていますが、神学部の学びは面接の場でも高く評価されました。」(卒業生・30代)
「答えがないからこそ、毎日が発見。学問って、こういうことかもって思えました。」(現役生・2年)
まとめ:「自分の考えで世界と向き合う力」を育てる学部
上智大学神学部は、特殊な学部のようでいて、実は「人間とは? 社会とは? 生きるとは?」といった根源的な問いに真剣に向き合う、とても普遍的な学びの場です。
卒業後の道は一つではありません。むしろ“どこへでも行ける人”を育てている、そんな懐の深さがある学部です。
「数字で評価できない学びこそ、人生を支える」——そんな価値観に共感するご家庭には、ぜひ一度、上智大学神学部を検討してみていただきたいと思います。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が、保護者の方に向けて執筆しました。最新の入試情報は、必ず大学公式サイトをご確認ください。
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