① 学生ストーリー|進路選択のきっかけ
高橋理央さんは、小さい頃から教会に通っていたわけでもなく、特定の宗教を持っていたわけでもありませんでした。ただ、高校時代、身近な人の死を経験したことで、「人はなぜ生きるのか」「死とは何か」といった根本的な問いに向き合うようになりました。
哲学書や宗教書を独学で読み進める中で出会ったのが、関西学院大学神学部。「宗教を学ぶ」というより、「宗教を通して、人の生き方を学ぶ」という学びの姿勢に惹かれたそうです。
「進学先として神学部を選ぶことに、最初は少し怖さもありました。でも、“わからない”ことに飛び込むことが、今の自分には必要だと思ったんです」と、静かに語ってくれました。
② 学びの内容|学生が学んでいること
神学部ではキリスト教を中心とした宗教学・倫理学・哲学などを幅広く学びます。高橋さんは1年次から「キリスト教神学入門」や「旧約聖書・新約聖書の講読」などを履修。教会史や宗教思想に加えて、現代社会における宗教の役割についても考える授業が多く、「宗教=信仰」だけではなく、「宗教=人間理解」という視点が新鮮だったそうです。
特に印象に残っているのは、2年次の「宗教と社会」ゼミ。宗教施設でのフィールドワークを通じて、宗教が地域のつながりや福祉の現場で果たす役割を実感し、「社会貢献としての宗教」という新たな関心が芽生えました。
3年次には「宗教教育と現代社会」のテーマで卒業研究に取り組んでおり、実際に学校や地域でのインタビュー調査も進めています。
③ 学生生活・大学の雰囲気|成長する環境とは
神学部には、内省的で人に優しい学生が多く在籍しています。派手さはないけれど、他人の話にじっくり耳を傾ける姿勢を大切にする空気感が特徴です。哲学や文学、心理学などに関心を持つ学生が多く、カフェやラウンジで「生きるとは何か」「赦しとは何か」といったテーマで語り合う姿が印象的です。
高橋さんは学内のチャペルスタッフも兼任し、礼拝の準備や学生への案内などを行っています。宗教行事を通じて、異なる信仰を持つ学生との対話の機会も多く、「他者を知ることで、自分を見つめ直す時間になった」と話します。
ただ、学生時代で一番辛かったのは、1年生の冬。宗教や死について深く考えすぎてしまい、精神的に疲弊してしまったそうです。「考えても答えが出ない世界で、何を信じていいかわからなくなった」と言います。
そんなときに、チャペルの牧師の言葉が支えになりました。
「信じられないときは、信じられる人の隣にいなさい。」
この言葉が胸に残り、「信仰や答えよりも、人とのつながりこそが大事なのかもしれない」と少しずつ立ち直ることができました。
④ Q&A
Q. 神学部を出て、どんな進路があるのでしょうか?
→ 牧師や宗教教育関係者はもちろん、福祉・教育・出版・国際協力など人と深く関わる分野に進む卒業生も多いです。
Q. キリスト教徒でなくても大丈夫?
→ まったく問題ありません。多くの学生は、「宗教を学問として学びたい」という動機で入学しています。
Q. 就職には不利にならない?
→ そんなことはありません。「深く考える力」や「多様性への理解」は、どの業界でも評価されるスキルです。
Q. 他の学生の雰囲気は?
→ 温厚で思慮深く、どこか静かで落ち着いた雰囲気です。相手を否定せず受け入れる空気があります。
Q. 実践的な活動はありますか?
→ 教会・福祉施設・教育機関との連携によるフィールドワークやボランティア活動が豊富です。
⑤ 入試情報
関西学院大学神学部の入試には、一般入試・共通テスト利用・総合型選抜・学校推薦型選抜など複数の形式があります。
一般入試では、英語・国語・選択科目(歴史や倫理など)でのバランスが求められ、特に読解力や論理的思考力が重要です。
推薦・総合型選抜では:
- 志望理由の明確さと、宗教や哲学への関心
- 小論文では「生き方」や「価値観」に関するテーマが出題される傾向
- 面接では、自分の考えを丁寧に語る力が評価されます
※偏差値などの数値情報は「パスナビ」などをご確認ください。
⑥ まとめ|学生の成長と学びの価値
高橋理央さんは、関西学院大学神学部で「問い続けることの大切さ」と「人と向き合う姿勢」を学びました。迷いや不安を抱えた時間こそ、自分自身を深く見つめ直すチャンスだったと振り返ります。
神学部の学びは、単なる宗教理解ではなく「人間を知る」ための学問です。将来どんな道を歩むにしても、他者と誠実に向き合える力を育てる神学部は、お子さまの人生に深い意味を与えてくれる場所になるはずです。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
参考
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