デザイン工学部ってどんな学部?
親: 芝浦って理系の大学だと思ってたけど、「デザイン工学部」ってちょっとイメージ違うわね。
子: よく言われる(笑)。でもここで言う“デザイン”って、美術的なことじゃなくて、「人の暮らしを便利に、快適にする仕組みづくり」って意味のデザインなんだよ。
親: たとえばどんなもの?
子: 家電の形やインターフェース、公共空間のサイン、アプリの画面設計、自動車の内装、都市の景観計画まで。「人がどう使うか」っていう視点が入るのがこの学部の特徴かな。
親: なるほど、美術というより“工学よりのデザイン”ね。
子: そうそう。「ユーザー中心設計」とか「人間工学」とか、感覚とデータを行き来しながらものを考える感じ。理系だけど、感性も大事なんだよね。
学びの構造と授業内容
親: 実際の授業って、どんなことするの?
子: 1年生のうちはスケッチや色彩、デザイン史みたいな基礎的なことから始まるんだけど、同時にCADとか3Dモデリング、構造力学とか“理系科目”も並行して学ぶよ。
親: じゃあ、芸大と違って、数学や物理もちゃんと必要なのね?
子: かなり必要!構造計算、材料工学、エルゴノミクス(人間工学)なんかは理詰めで考えるし、実験データを元に設計に活かすことも多い。だから理系の下地があってこそ、活きる学びかも。
親: 美術経験がないと不安になったりしない?
子: それもよく聞かれるけど、入学時に絵が上手な必要はないよ。描き方は授業で教えてもらえるし、それより「相手の使い勝手を想像する力」の方が大事なんだ。
実習・作品制作とグループワークのリアル
親: 実習とか作品づくりは多いの?
子: 多い!2年生以降は、毎学期ごとに“課題制作”があって、最終的にはプロダクトやUIの形にする。模型をつくったり、ソフトでインタラクティブな画面を組んだりするよ。
親: ひとりで全部やるの?
子: グループワークも多いよ。むしろ「自分のアイデアをどう説明して、チームとして形にするか」がめっちゃ大事。プレゼンの練習もかなり多いから、自然と話す力もついてくる。
親: 成績はどう決まるの?テスト?
子: テストより、課題提出と発表が中心。評価の基準も「完成度」だけじゃなくて、「過程の工夫」「社会的視点」「他者への配慮」なんかが見られるから、ちゃんと考えてつくる必要がある。
学生の雰囲気と“理工系×デザイン系”の文化
親: 他の工学部とは雰囲気が違う?
子: けっこう違うね(笑)。個性的な服の子も多いし、デザインに対して“語りたいこと”があるタイプが多い。でも、理系的に考えるクセがあるから、全体としてはすごく論理的。
親: 芸術系というより、建築や都市系の雰囲気?
子: まさにそう!芝浦のデザイン工は「感性と技術の中間」で、“見た目がきれい”よりも“使えるかどうか”が評価される。そこが大学院までつながる強みだと思う。
親: 男子が多い?
子: 他学部よりは女子が多めだよ!学科によっては男女比が半々くらいのとこもあるし、建築寄りやビジュアル寄りのゼミには女子が多い印象だった。
就職先と評価の高さ
親: デザインって就職が不安っていう親も多いと思うけど…
子: 芝浦の場合、就職はかなり強い。ものづくり系企業(メーカー)で「デザイン×設計」の役割を担ったり、IT企業でUI/UX系の職種に就く人が多いよ。あと建築設計事務所やコンサル、広告系に進む人も。
親: 芸術系の大学よりも“工学寄りの採用”なのね?
子: そう!「技術がわかるデザイナー」は企業側からすごく評価されてる。CAD使えて、構造の知識もあるデザイナーってなかなかいないからね。
親: 大学院進学する人もいるの?
子: 結構いる。特に建築寄りや研究志向のゼミにいると、大学院で環境設計や都市デザインを深めたりする人が多い。芝浦の大学院は企業との共同研究が多くて、就職にも強いんだ。
一番印象に残っていることは?
親: 大学生活で一番印象に残ってることって?
子: プロダクトデザインの課題で、「ユニバーサルなコーヒーマグ」を考えたとき。片手しか使えない人や高齢者でも安全に持てる形を試作して、学内の発表会で「一番人にやさしい作品だったね」って言ってもらえたのがすごく嬉しかった。
親: 技術よりも“人の視点”が評価されたのね。
子: そう、あのとき「自分のデザインで誰かの生活が変わるかもしれない」って実感できて、将来こういう仕事がしたいって思えたんだ。
受験生の親御さんに伝えたいこと
親: 最後に、芝浦のデザイン工学部を目指す子の親御さんに一言お願い。
子: 芝浦工業大学のデザイン工学部は、感性と理系スキルを同時に育てられる、全国でも珍しい学部です。「ものをつくるのが好き」「人の役に立つデザインを考えたい」っていう子には本当にぴったり。手を動かす実践も、論理で支える知識も、どちらも大事にされる環境があります。きっと、お子さんが4年間で“技術を持った表現者”として成長できると思います。安心して背中を押してあげてください!
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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