「言語文化学部」って、外国語を学ぶだけの学部なの?
親: 「言語文化学部」って、名前からして外国語を学ぶ学部なんだろうなって思うけど、それだけじゃないわよね?
子: その通り。もちろん語学は徹底的に学ぶけど、それがゴールじゃないんだ。東京外国語大学の言語文化学部では、「言葉を通して、その国の文化・歴史・文学・思想・社会を深く理解する」ことが目的なんだよ。言語はあくまで入口で、その奥にある“人と社会のあり方”を読み解く学部って言ったらいいかな。
親: 単なる語学力以上のものが求められるのね。何カ国語も学ぶの?
子: 主専攻として1つの言語を選んで深く学ぶけど、副専攻やサブモジュール制度もあって、複数の言語に触れることができるよ。例えば主専攻がスペイン語でも、副専攻でフランス語やアラビア語を取ったりできるから、ヨコの広がりもかなりある。
専攻言語はどう決まるの?英語だけじゃないの?
親: それって、入試のときに英語で入って、あとから第二外国語を学ぶのとは違うの?
子: 違うんだよ。東京外国語大では入学時にすでに“専攻言語”が決まってて、たとえばドイツ語専攻、ロシア語専攻、ペルシア語専攻みたいに、その言語と文化に特化して学んでいくスタイルなんだ。英語専攻ももちろんあるけど、むしろ“非英語圏”を学びたい学生にとっては他にない環境なんだよね。
親: えっ、それって入試のときから言語を選ぶの?かなり覚悟がいるわね。
子: そうそう。でも「その国のことを深く知りたい!」って気持ちの強い子が集まってくるから、学内の熱量はすごく高いよ。専攻言語のネイティブの先生がいることも多いし、発音や文法だけじゃなく、現地の生活や文化まで肌感覚で学べるのが魅力。
授業の雰囲気は?文献読解?会話中心?
親: 実際の授業はどんな雰囲気なの?英語でも大変なのに、アラビア語やスワヒリ語とか、ちゃんとついていけるの?
子: もちろん最初はみんなゼロからのスタートだから安心していいよ。授業は超少人数制で、1年次からネイティブとの対話や会話演習が組まれてるし、毎日語学漬けって感じ。でもその分、習得スピードも早いし、先生との距離も近いから質問しやすい環境だよ。
親: 語学以外の授業は?文学とか文化って、どうやって学ぶの?
子: たとえば、スペイン語専攻ならスペインの現代文学を読んだり、ロシア語ならドストエフスキーを原語で読んだり。さらにその時代の歴史背景や社会状況も合わせて分析するから、「ことばと社会」を結びつけて考える力がつくんだ。通訳や翻訳の訓練科目も選べるし、表現技術も磨けるよ。
学生の雰囲気は?個性派?国際派?
親: 東京外大って、個性的な学生が多そうな印象があるのだけど、実際はどうなの?
子: まさに「多様性の塊」って感じ!専攻言語も出身地も趣味も全然違ってて、いろんな“世界”を持った人が集まってる。地味で内向的な子もいれば、外交官志望のアクティブな子もいるし、「自分の世界をしっかり持ってる」っていう共通点があるかも。
親: 英語が苦手な子とか、外国語初心者でもなじめるの?
子: 最初はみんな不安だけど、基礎から丁寧に教えてくれるし、「みんなが挑戦者」っていう空気があるから大丈夫。むしろ、「語学に自信がある」っていうより、「異文化を学びたい」って気持ちのほうが大事かも。
就職には強い?専門的すぎてつぶしが効かない?
親: たしかに魅力的な学びだけど、就職のことを考えると少し心配なのよね。外国語や文学って、どこまで役に立つのかしら。
子: それがね、意外と“就職に強い”って言われてるんだよ。なぜかというと、外大生って「語学+論理的思考+自己表現力」がそろってるから。外資系・商社・マスコミ・国際機関・公務員・教育など、どこにでも通用するんだ。特にニッチな言語を扱えると希少性も高い!
親: 語学を活かす仕事じゃないとダメなのかしら?
子: そんなことないよ!たとえばIT企業で海外担当として働いたり、データ分析やコンサルに進む人もいるし、一般企業の営業・広報・マーケティングでも、言葉を使って価値を伝える力が活きる。大学院に進んで研究や教職に就く人も多いよ。
主な就職先例:
- 外務省、国際協力機構(JICA)、在外公館
- 商社(伊藤忠、双日)、外資系企業(Google、Amazon)
- メディア・出版(NHK、講談社、朝日新聞社)
- 教育関係(高校英語教員、語学スクール運営)
- IT企業(楽天、Yahoo、アクセンチュア)
- 大学院進学(東京大学、東京外国語大学大学院など)
印象に残った授業や経験は?
親: 大学生活で「これがあったから成長できた!」っていう経験はある?
子: スワヒリ語専攻のゼミで、実際にケニアの学生とオンラインで共同プロジェクトをやったときのこと。文化の違いに戸惑ったり、言語の壁に苦労したけど、最後には現地の学生と一緒にプレゼンを作って発表できた。そのとき「ことばは壁じゃなくて、つながる手段なんだ」って実感できたよ。
最後に、保護者の方へひとこと
親: 語学って一生ものの武器だけど、方向性が定まらないと迷子になるんじゃないかって心配もあるわ。
子: たしかに自由度が高いから、自分で方向性を見つける力が求められる。でも東京外国語大学は、学びを通して“世界の見え方”そのものを広げてくれる大学なんだよね。「ことばを通して社会と向き合う」って、どんな進路でも役立つ。そういう人間力を育ててくれる学部だと思う!
親: どんな子に向いてると思う?
子: 「外国語が好き」「文化や文学に興味がある」「一つの国や地域を深く知りたい」「世界の多様性にワクワクする」――そんな子には、まさにぴったりの学部だよ!
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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