「材料エネルギー」ってなに?――未来をつくる“工学の最前線”を学ぶ
親: 「材料エネルギー学部」って聞き慣れないけど、理系の学部なのよね?いったい何を勉強するの?
子: 一言で言うと、「物質とエネルギーを扱って、社会課題に挑む工学部」だよ。たとえば、脱炭素社会の実現・再生可能エネルギーの開発・省エネ技術・材料リサイクルなど、今まさに世界が必要としている技術に直結しているんだ。
親: 環境とかエネルギー問題とか、社会的なテーマとも関係があるのね。
子: そう!しかも島根大学のこの学部は、“地球規模の問題”を“地域と連携しながら解決する”というスタンス。地方にある国立大だからこそ、現場と密接に結びついたリアルな学びができるんだよ。
学部の特徴|「材料」と「エネルギー」―未来のモノづくりと社会インフラを支える専門性
島根大学 材料エネルギー学部では、以下のような分野を融合的に学びます:
● 材料工学
- 金属・セラミックス・高分子などの構造と機能を科学的に解明
- 半導体・バイオ材料・次世代素材(軽量・高強度・高耐熱)にも対応
- 加工・評価・再利用などの技術も含めた“モノづくり”教育
● エネルギー工学
- 発電・蓄電・熱変換・電気化学反応など、エネルギーの変換と利用を学習
- 再生可能エネルギー(太陽光・風力・地熱)や水素エネルギーの開発
- 持続可能なエネルギー社会に必要なインフラ設計・効率化技術
● 環境・システム融合分野
- CO₂削減・リサイクル・資源循環といった環境対応技術
- 材料とエネルギーのシステム設計・ライフサイクル評価(LCA)
- ローカル社会との連携で“使える技術”へと落とし込む力を養成
子: 実験中心で「手を動かす」ことも多いけど、何より**“なぜこの技術が必要なのか?”**を社会の視点から考えるのがこの学部らしさなんだ。
学びのステップ|理論と実験を重ね、現場と未来をつなぐ技術者になる4年間
● 1年次|理工系の基礎と“工学マインド”を養う
- 数学・物理・化学といった基礎科目を重点的に学習
- 材料・エネルギーに関する導入講義で全体像を理解
- 実験レポートやグループ討論を通して「考える工学」へシフト
● 2年次|材料×エネルギーの専門分野を掘り下げる
- 材料構造解析・熱力学・流体力学・電気化学など専門科目が本格化
- 機械加工・分析装置の使い方・プログラミングなど“実務力”も習得
- 少人数クラスでの演習やラボツアーで将来像を描く
● 3年次|研究室に所属し、プロジェクト型学習が中心に
- 燃料電池の開発/省エネ材料の応用/リサイクル技術などをテーマに実験開始
- 地域企業や自治体と連携した「課題解決型」実習がスタート
- 海外インターンや学会発表にチャレンジする学生も増加中
● 4年次|卒業研究を通じて“現場で活きる技術”を形にする
- 例:廃棄物由来素材の再利用設計/太陽光発電システムの地域最適化/水素社会の実現に向けた課題と解決策
- データ取得・分析・論文執筆・口頭発表まで一貫して経験
- 研究成果を企業や行政に向けて提案する機会もあり
親: 難しそうな内容だけど、“社会に役立てるため”って考えたら、やりがいもありそうね。
子: 実際、**「自分の技術で社会が変わるかも」**って思える瞬間があるから、勉強にも力が入るよ。
実験・研究テーマの一例|未来に直結するリアルな課題を学生が担当
- ● 廃プラスチックの熱分解によるエネルギー再資源化
- ● 島根県の温泉熱を利用した熱交換システムの設計
- ● 鉄鋼の再利用プロセスにおけるCO₂削減効果の評価
- ● 高効率太陽電池材料の構造解析と効率改善
- ● 電気自動車向けリチウムイオン電池の耐久性向上技術
子: どのテーマも、**“学問のための研究”じゃなくて、“社会のための研究”**なんだよ。
学生の雰囲気|ものづくりが好き、だけじゃない。“社会の役に立ちたい”という熱量がある
- 工学に興味があるだけでなく、「地球や地域の課題に貢献したい」という志を持つ学生が多い
- グループワーク・演習・プロジェクト活動を通じて、協調性と論理的思考が自然と身につく
- 研究に没頭するタイプもいれば、企業や行政と連携して“外に出る”学生も多い
- 少人数制で先生との距離が近く、安心して学べる雰囲気
親: 理系って個人主義のイメージがあったけど、ここはチームワークも大事なのね。
子: うん、**“技術は人の中でこそ活きる”**って実感できる場所だよ。
就職・進路|インフラ・環境・エネルギー分野に強い、実学工学系の就職力
● 主な進路
- 製造業(素材・自動車・電子機器・化学・住宅など)
- エネルギー関連企業(電力会社・プラントメーカー・再エネ事業者)
- 建設・インフラ系(ゼネコン・設備エンジニアリングなど)
- 公務員(技術職/環境・エネルギー・産業政策担当など)
- 大学院進学(島根大ほか国公立・私立工学系研究科)
● 資格・サポート
- 技術士補・エネルギー管理士・公害防止管理者などの受験支援
- インターンシップ制度と企業訪問の機会が豊富
- キャリア支援センター+研究室のWサポートで就職率も高水準
子: 「環境×技術」って今すごく注目されてる分野だから、進路の選択肢も広くて可能性を感じるよ。
保護者の方へ|こんなお子さんにおすすめです
- 環境問題やエネルギー問題に関心があり、技術で社会に貢献したい子
- モノづくりが好きで、理論と実験の両方に興味がある子
- 将来、製造・インフラ・エネルギー業界で活躍したい子
- 地域課題と技術をつなげて考えたい子
- 理系進学後も“社会とつながった学び”をしたい子
子: 「技術者=パソコンに向かう人」じゃなくて、「未来に向かって社会を支える人」だって、ここで気づけたよ。
親: 社会にも、地球にも、未来にも必要とされる力が身につきそうね。安心して任せられるわ。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
コメント