「医学部」って、ただ医者になるための学部?――いえ、”人間を診る力”を育てる場です
親: 医学部って、要するにお医者さんになるためのところよね?
子: もちろん「医師になる」というのが医学部の大きな目標だけど、和歌山県立医科大学の医学部は、それだけじゃないんだ。知識と技術だけでなく、「人の命と生活に真正面から向き合える医師」を育てる教育が特徴なんだよ。
親: 命を預かる職業だからこそ、“人としての器”も問われるのね。
子: うん。特にこの大学は、「地域医療への貢献」に強い使命感を持っていて、和歌山の医療を支える中核拠点として、現場と直結した実践的なカリキュラムが組まれているんだ。
和歌山から世界水準へ|2つの柱「地域医療×高度医療」
● 地域に根ざす医療人を育てる
- 和歌山県全体と連携した地域枠制度あり
- 僻地・離島医療、在宅医療、災害医療への実習・派遣が充実
- 高齢化率の高い県だからこそ、現場でリアルな課題に触れられる
● 高度先進医療にも対応できる医師養成
- 附属病院ではロボット手術やハイブリッド手術も導入済み
- シミュレーションセンターに最新の手術・診療トレーニング機器を完備
- 大学院進学や臨床研究への道も整備され、研究医も目指せる
子: 地域密着型だけじゃなく、都市部や海外の医療水準にも通じた教育で、バランスのとれた医師が育ってる印象だよ。
カリキュラムの流れ|“人を診る”ために7年間で育てる力
※和歌山県立医科大学では、医学科は6年制+1年初期研修で構成されます。
● 1~2年次:教養と基礎医学で“医学の土台”をつくる
- 医学概論・生命科学・分子生物学・生理学・解剖学などを体系的に学習
- 和歌山の医療現場への早期体験実習あり(病院見学・地域医療観察)
- 倫理教育・医療コミュニケーション教育もこの時期から導入
● 3~4年次:臨床への接続、シミュレーション中心の学び
- 病理学・薬理学・臨床検査・免疫学などの臨床基礎を深掘り
- 多職種連携演習(チーム医療教育)や医療安全教育を実施
- 実際の症例を使ったPBL(問題解決型学習)を導入し、医師としての思考回路を形成
● 5~6年次:附属病院と地域医療機関での本格的な臨床実習
- 内科・外科・産婦人科・小児科・精神科など、診療科ローテーション制
- 在宅医療、リハビリ、緩和ケア、救急医療などにもふれる
- 和歌山県内外の地域病院・クリニックに派遣され、地域医療の実際を学ぶ
● 卒業後:初期臨床研修(2年間)+専門研修へ
- 和歌山県立医科大学附属病院を中心とした初期研修プログラムが整備
- 内科・外科・救急・産婦人科・地域医療などの必須科目を経験
- 2年間の研修を経て、内科/小児科/外科/精神科などの専門医コースへ進む
現場力を育てる“実践主義”の教育環境
- 附属病院(和歌山市)には各診療科と研究センターを併設
- 救命救急センター、感染症センター、がんセンターとの連携実習あり
- シミュレーションセンターでは、VR・模型・模擬患者による訓練が可能
- 学生が地域イベント・健康フェアなどにも参加し、住民と直接対話
親: 医学って教科書だけじゃ学べない分野よね。現場で考え、動ける力が必要なのね。
子: その通り。「生身の人と向き合う力」は、この大学の中でも特に重視されてると感じるよ。
学生の雰囲気|真面目で熱意があり、支え合う文化
- 医学部らしく、落ち着いた学生が多いが、互いに切磋琢磨する雰囲気がある
- 国家試験や実習で大変な時期も、グループ学習・先輩後輩の支え合いで乗り越える
- 地域医療に魅力を感じて入学した学生も多く、医療への志が高い
- 看護学部・薬学部との交流もあり、チーム医療の視点が自然と育つ環境
医師国家試験・卒後進路|高い合格率+幅広い活躍先
● 国家試験合格率
- 医師国家試験合格率は例年全国平均を上回る安定した実績
- 6年次には過去問対策、模擬試験、グループ演習など徹底サポート体制
- 教員による個別指導・学習計画のアドバイスもあり
● 初期研修・専門研修の主な進路先
- 和歌山県立医科大学附属病院(多数)
- 和歌山県内の地域中核病院(新宮・田辺・橋本など)
- 大阪・京都・兵庫など関西圏の高度急性期病院へも進学可能
- 希望者は海外臨床研修・国際医療機関でのキャリアも視野に
● 将来の進路
- 臨床医(内科/小児科/外科/整形外科など)
- 専門医(救急・放射線・精神科・皮膚科など)
- 大学院進学・研究医・行政官(保健所・医系技官)なども
保護者の方へ|どんなお子さんにおすすめ?
- 医師として「人の命に責任を持つ覚悟」がある子
- 医療に興味があり、困っている人を助けたいという思いが強い子
- 地域貢献や地元医療に使命感を持ちたい子
- 理系科目が得意で、長期的な学びにも粘り強く取り組める子
- 多職種と連携してチームで支え合うことに価値を感じられる子
子: 医学部での学びって、正直きつい。でも、「誰かを救えるかもしれない」って思うと、がんばれる。大変だけど、意味のある時間だよ。
親: 命と向き合う責任。だからこそ、本物の“学び”がそこにあるのね。
この6年間は、将来の人生そのものをつくる時間になるわ。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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