“環境を守る”から“環境と共に生きる”へ。地域に根ざしたグローバルな視点の学び
親: 「環境科学部」って聞くと、エコとか温暖化対策をする学部ってイメージだけど、実際はどんなことを学ぶの?
子: イメージとしては合ってるよ。でもそれだけじゃなくて、環境問題を科学的に分析して、社会や地域に活かせるようにする学びなんだ。たとえば、森林や海の生態系を守る話、気候変動と防災のつながり、地域資源の循環利用など…「地球」と「暮らし」をつなぐ仕事を目指す感じかな。
親: 環境って、地球規模の問題よね?大学でどこまで関われるの?
子: 実は長崎って、海・山・離島・都市がコンパクトにそろった自然のフィールドがあるから、実地調査がすごくしやすいんだ。国際的にも、アジアの環境問題研究の拠点の一つになってるんだよ。
学部の特徴|自然科学と社会科学を融合した“フィールド重視”の環境教育
● 理系だけど「社会とつながる」視点を大切に
・生態系・大気・水質・土壌などの自然科学的な分析に加え、人間の暮らし・政策・技術とのつながりも学ぶ
・フィールドワーク・政策提案・技術開発が一体化したカリキュラム
● SDGsと地域創生をリンクさせた実践的学び
・環境保全だけでなく、「持続可能な社会のしくみ」をつくる研究(再生可能エネルギー、資源循環、自然共生型まちづくりなど)に力を入れている
・国内外の環境課題(里山の保全から東南アジアの海洋汚染まで)を広く扱う
● 実験・観察・調査が充実した自然フィールド科学
・長崎市内や近郊の干潟・森林・河川などでの現地観察やデータ収集が豊富
・水質分析や大気中の粒子測定、海洋ごみのマイクロプラスチック調査などの実践が中心
● “文理融合”のゼミ・プロジェクト学習
・理系の学生でも、政策提案・地域協働など社会的な活動に多く関わる
・多様な価値観・専門をもつ仲間とチームで課題解決に挑む場面が多い
学びのステップ|自然を知る→しくみを考える→社会に活かす4年間
● 1年次:自然科学と環境問題の基礎を広く学ぶ
・基礎生物学・地学・化学・物理を通して、環境の成り立ちを理解
・環境学概論、SDGs基礎、フィールド観察実習で“現場の目”を養う
・グループでの小プロジェクトにも挑戦し、協働力を育成
● 2年次:テーマ別の専門知識と分析技術を習得
・環境化学・水圏生態学・大気環境学・GIS(地理情報システム)などを選択
・実験やフィールドワークが増加し、データ収集→分析→考察のサイクルが本格化
・ゼミ活動が始まり、自分の興味を探りながら研究分野を絞る
● 3年次:地域・企業・国際機関との連携プロジェクトに参加
・行政や企業と協働したまちづくりや再生可能エネルギー実証事業に参加
・ベトナムやインドネシアとの環境共同調査に参加する海外研修も選択可能
・環境アセスメント演習、環境教育教材開発などの応用的学びにシフト
● 4年次:卒業研究で「自分の環境課題」と向き合う
・地域の河川の水質変化調査、再生エネルギー導入モデルの設計、農業と環境保全の両立提案など多彩な研究テーマ
・研究発表、ポスターセッション、地域報告会などアウトプットの場も豊富
・教職課程を取って環境教育の先生を目指す学生もいる
実践例|「環境を守る」から「環境と共に生きる」へ
・長崎市内の干潟・河川における生物多様性調査
・小中学校向けの環境教育プログラム開発・出前授業
・市民参加型の水質測定プロジェクト(海洋プラスチック調査)
・風力・太陽光発電の設置計画と環境影響評価の演習
・離島での資源循環型社会構築シミュレーション研究
・長崎県庁・環境NGOと連携した政策提案プレゼン会
学生の雰囲気|自然・社会・人に関心のある“探究心あふれる”仲間たち
・生物・化学が好きな理系型もいれば、環境政策や社会貢献に興味のある文系志向の学生も多い
・フィールドワークや調査旅行を通して仲間との結束が強まる
・温かく穏やかな空気の中で、自分の“問い”を見つけてじっくり育てていく学び方
・環境問題に“自分ごと”として向き合いたいという意識が全体に根付いている
就職・進路|“環境を仕事にする”ための多様なキャリア支援
● 主な進路先
・行政職(環境政策課、公害対策、自然保護課など)
・民間企業(環境コンサル、建設・インフラ、再生可能エネルギー、食品メーカー)
・研究職(国立環境研究所、自治体研究機関、大学院進学)
・NPO・NGO(地域づくり、国際協力、環境教育)
・教員(高校理科・地学、総合的探究の時間担当)
・公害防止管理者、水質・大気測定技術者、環境分析士などの資格を活かす道
● 支援体制
・地域企業・行政との共同研究→インターン→採用ルートもあり
・大学院進学率も高く、研究職や専門職に進む学生が多数
・ES添削・面接練習・OBOG相談会など進路サポートが充実
保護者の方へ|こんな子におすすめです
・自然が好き、生き物や地球環境に関心がある子
・将来、社会に役立つ研究や仕事をしたいという思いがある子
・フィールドワークや実験など、体を動かす学びが好きな子
・文理の枠にとらわれず、幅広く探究していきたい子
・環境問題を“人ごと”でなく“自分ごと”にできる子
子: 「環境」って難しいテーマだけど、実際に自然の中に出て、人と関わって、少しずつ理解が深まる感じがすごくいいんだ。
親: 地球規模のことを、足元から考える。それって、これからの時代に本当に大事な力なのね。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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