動物だけじゃない、人・環境・未来に貢献する獣医学とは?
親:獣医学部って動物のお医者さんになるための学部っていうイメージだけど、それだけじゃないの?
子:たしかに「ペットのお医者さん」のイメージが強いけど、鹿児島大学の共同獣医学部ではそれだけじゃなくて、家畜の衛生管理・食の安全・感染症対策・野生動物の保全まで広く学ぶんだよ。人と動物と環境をつなぐ“ワンヘルス”という考え方がベースにあるんだ。
親:ワンヘルスって?
子:「人・動物・環境の健康はすべてつながっている」っていう考え方だよ。新型コロナや鳥インフルエンザみたいな人獣共通感染症にも対応できる獣医師を育てることが大事なんだ。
学部の特色|岐阜大学との連携による“共同教育”の強み
鹿児島大学の共同獣医学部は、**岐阜大学と連携した全国初の「共同学部」**なんだ。
- 1〜2年次は鹿児島で教養教育と専門基礎を学ぶ
- 3年次以降は、両大学の教員による共同授業や研究指導を受けられる
- 遠隔授業や集中講義で岐阜大と連携し、視野を広げた学びが可能
- 九州の畜産・家畜衛生の拠点として、フィールドも非常に豊富
子:地域密着と全国的な連携、両方を活かせるのがこの学部の魅力だよ。
カリキュラム|基礎から臨床、現場までつながる6年間
● 1・2年次:教養+基礎獣医学で土台をつくる
- 解剖学・生理学・生化学・動物行動学などを学び、動物のからだの仕組みを理解
- 鹿児島大学の教養教育(語学・倫理・ICTなど)も並行して履修
- 畜産フィールドでの実習で、家畜との関わりを早期に体験
● 3・4年次:専門性を深める応用獣医学と実習
- 病理学・薬理学・公衆衛生学・感染症学など病気の原因と対策を学習
- 臨床獣医学(犬猫・牛豚・馬など)の授業が本格化
- 食品衛生・畜産政策・環境管理など社会的役割の理解も進む
- 学内附属の動物病院での臨床実習や農場実習が本格スタート
● 5・6年次:高度実践力と研究力を育てる最終段階
- 臨床診断・手術実習・飼育管理指導などの高度な実務スキルを習得
- 衛生検査所や家畜保健衛生所での現場実習(外部施設)も多数
- 研究テーマに取り組み、卒業論文を執筆(研究発表会あり)
- 国家試験対策講座で、獣医師免許取得に向けた最終仕上げ
親:獣医学って、人間の医学と同じくらい専門的で幅広いのね…。
子:うん、6年間で「診る・守る・伝える」全部の力を身につけるんだよ。
フィールド実習の充実|「動物と向き合う」だけじゃない学び
- 鹿児島県内の畜産農場・食肉センター・保健所との連携実習
- 動物病院でのペット診療/手術実習(犬・猫・エキゾチックアニマル)
- 野生動物リハビリ施設での保全・救護活動への参加
- 南九州地域の感染症モニタリングや環境調査プロジェクトへの参画
- 国際協力活動(アジア地域の家畜衛生支援)を視野に入れた研究指導も
子:本当に“動物だけ”じゃない。人と社会、そして自然ともつながる学びだよ。
学生の雰囲気|使命感のある“専門職志向”の集まり
- 子どものころから獣医師を目指してきた学生が多い
- 理系的思考と倫理観、両方を大切にする姿勢がある
- 動物好きだけでなく、「社会の役に立ちたい」という意識も高い
- 実習や国家試験を一緒に乗り越える仲間としての強い結束力
就職・進路|国家資格を活かして、多様な道へ
● 主な進路
- 小動物診療の獣医師(動物病院など)
- 家畜診療・畜産衛生分野(農林水産省・地方自治体など)
- 食品衛生監視員・検疫官などの公務員職
- 製薬・バイオ系企業(研究・開発・品質管理)
- 動物園・水族館・研究機関(飼育・保全・研究支援)
- 大学院進学(獣医学・公衆衛生・生命科学など)
● 資格・支援体制
- 獣医師国家試験の合格率は全国トップクラスの水準
- 学内での模試・面接練習・勉強会のサポートあり
- OB・OGによる進路相談・現場レクチャー会も充実
子:動物病院に行くだけじゃなくて、保健所や空港でも獣医師って働いてるんだよ。
保護者の方へ|こんなお子さんに向いています
- 動物が好きで、命を大切にする気持ちがある子
- 理系科目(生物・化学・数学)にコツコツ取り組める子
- 将来は医療や研究、公衆衛生などの専門職として活躍したい子
- 自分の興味だけでなく、社会のニーズにも応えたい子
- 感染症や食の安全など、広い視点で課題を考える力を育てたい子
親:獣医師って、本当に社会に必要とされる仕事なのね。
子:うん。鹿児島大学の共同獣医学部は、“動物を診る力”と“人とつながる心”の両方を育ててくれる場所なんだ。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
コメント