「音楽学部」って?沖縄の音と、世界の音を学ぶ場所
親: 音楽学部って、ピアノや声楽をやるんでしょ?でも、沖縄の大学って何か違うのかしら?
子: まさにそこが魅力なんだよ。沖縄県立芸術大学の音楽学部では、西洋音楽(クラシック)だけでなく、琉球芸能・沖縄音楽も専門的に学べるんだ。つまり、「世界」と「沖縄」を音楽でつなげる、ちょっと特別な学び方ができる学部なんだよ。
親: なるほど、全国の音大でも珍しいアプローチね。
子: うん。たとえば三線(さんしん)や古典音楽を学ぶ人もいれば、ピアノやフルートで国際コンクールを目指す人もいて、伝統と創造が共存してるのがこの学部の特徴なんだ。
沖縄県立芸術大学 音楽学部の学びの構成
音楽学部は、以下のような2つの大きな軸で学びを展開しています。
◆ 西洋音楽系(クラシック)
- 器楽(ピアノ・弦楽・管楽・打楽器)
高度な個人レッスン+アンサンブル演習で技術を磨く
コンサートや演奏会でアウトプットの機会が豊富 - 声楽
発声技術、歌曲・オペラの歌唱、舞台表現などを学ぶ
オーケストラとの共演や公開試験など、舞台経験が豊富 - 作曲・音楽理論
和声法・対位法・現代音楽理論・作曲実技を修得
作品制作+演奏発表で、創作力を養う - 音楽教育
教育現場を想定した指導法、教材研究、教育実習を実施
小・中・高の教員免許取得に対応
◆ 琉球芸能系(伝統音楽・舞踊)
- 琉球古典音楽(歌三線・箏・胡弓)/舞踊伴奏
実技+歴史・理論を両輪に、地域の芸能を専門的に学ぶ
地域の祭祀・行事に参加する“フィールド型”教育も充実 - 創作・現代沖縄音楽への展開
三線と洋楽器を融合した演奏・創作にもチャレンジ可能
国内外での琉球芸能公演・ワークショップも実施
子: クラシックを学びたい人も、沖縄音楽に興味のある人も、「表現を深める」という点では共通してる。そして先生たちがすごく丁寧で、学生の個性を伸ばしてくれるんだよ。
4年間の学び|個性を伸ばし、舞台に立つ自信を育てる
1年次|音楽家としての基礎体力づくり
- 専門実技(個人レッスン)+基礎理論(ソルフェージュ・和声・リズム訓練)
- ピアノ・三線などの副科実技も必修(幅広い素養を育てる)
- 琉球文化入門、音楽史、芸術概論などを通じて視野を広げる
- 公開レッスンや校内演奏会で、“人前に立つ練習”を開始
2年次|表現力と共演力を磨くステージへ
- 室内楽・重唱・アンサンブル演習が本格スタート
- 作曲専攻では学生同士の演奏で新作初演の機会もあり
- 琉球芸能系では地域の演奏会・舞踊公演に出演するチャンスが増える
- 教育実習に向けた模擬授業や指導案づくりも始まる
3年次|外部との接続と実践的舞台体験
- 学内外でのリサイタル・合同演奏会に出演(プロの演奏家と共演する例も)
- 琉球芸能系では、国際交流プログラムや県外公演にも参加可能
- 卒業研究のテーマ設定(例:沖縄民謡の楽譜化、現代音楽と三線の融合など)
- 学生企画の演奏会やコンサート運営にも携わる
4年次|卒業研究+進路実現への最終章
- 卒業演奏(または論文・作品提出)に向けて1年を通して準備
- 実技発表は、公開コンサートとして実施(外部からの観客あり)
- 就職支援・進学ガイダンス・留学相談なども個別に対応
- 演奏、教育、研究、それぞれに合った出口戦略が可能
フィールド実践|音楽を“社会とつなぐ”学外活動
- 琉球舞踊公演での伴奏(三線・箏・太鼓)として出演
- 小中学校での出張授業(音楽ワークショップ)に講師補助として参加
- 離島での音楽フェスティバルに学生演奏団体が招待出演
- 沖縄国際映画祭や地域文化祭に音楽隊として協力
- 留学生や研究者との「多文化共創プロジェクト」なども盛ん
子: 実際に舞台に立つ経験が多いから、“プロとしての心構え”が自然と身につく感じだよ。
学生の雰囲気|おだやかで熱意のある「表現者の卵」たち
- クラシックと琉球芸能、専攻が違ってもお互いにリスペクトし合う空気感
- 穏やかで真面目にコツコツ練習するタイプが多い
- 先生との距離が近く、相談やレッスンのやりとりが非常に密
- 少人数制で個性を伸ばしやすく、自分のペースで成長できる
- 留学生や県外出身者も多く、“多様性のなかの芸術”を肌で感じられる
主な進路|「演奏・教育・研究・文化発信」多様な出口がある
◆ 演奏家・表現者として
- 自主リサイタル、音楽ユニット、地域芸術団体への所属
- 琉球芸能の継承者として、舞台出演や指導者へ
- 作曲・編曲・映像音楽などの創作職(映画・舞台・CM音楽など)
◆ 教育・指導者として
- 小学校・中学校・高校の音楽教員(教員採用試験合格者多数)
- 音楽教室・カルチャーセンター講師、ピアノ・三線の個人指導
- 地域の文化振興センターや博物館での音楽企画担当など
◆ 研究・文化財領域へ
- 大学院進学(東京藝大、京都市立芸大、沖縄県立芸術大学大学院など)
- 琉球文化・音楽民族学などの研究者へ進む道もあり
- 民謡や古典芸能の保存・調査・記録活動に従事
保護者の方へ|こんなお子さんにおすすめの学部です
- 音楽が生活の一部で、演奏・創作・舞台表現が好きな子
- 琉球文化や伝統芸能に関心があり、継承や発信に携わりたい子
- コツコツ練習し続けることを楽しめる子
- 音楽教育や子どもへの指導にやりがいを感じる子
- “自分らしい表現”を音楽で追求したい子
親: 音大って狭い世界かと思ってたけど、ここは地域や世界とちゃんとつながってるのね。
子: うん、「芸術が社会にできること」を実感しながら学べるのが、沖縄県立芸術大学の魅力なんだ。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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