「危機管理学部」って? 社会の“もしも”に備える、実践的な知のフィールド
親:
危機管理って…なんだか物々しい名前ね。まさか災害対応だけを学ぶの?
子:
確かに「防災」っていうイメージが強いけど、実は災害だけじゃなくて、テロやサイバー攻撃、感染症、国際紛争、情報管理まで含むんだ。つまり、「社会の安全を守るために必要な知識と行動力」を総合的に学べるのがこの学部なんだよ。
親:
へえ…。それって、文系でも理系でもない感じね?
子:
そう、まさにその中間的な立ち位置。法律・政策・心理・情報・地理・メディア・統計・安全保障など、さまざまな分野を横断して学ぶ、新しいタイプの実学系学部なんだ。
学びの特徴|「知識」だけじゃない、「現場で動ける力」を鍛える教育
文理融合・実践重視のカリキュラム構成
- 危機の本質を見抜く「分析力」と「判断力」を育てる
- 災害・事故・事件などの過去事例をもとに、実際の対応策を検証
- 公共政策や法律、統計データの活用、マスメディア分析、ICT活用なども網羅
体験型学習が中心
- シミュレーション演習(地震対応訓練、感染症対策、情報漏えい対応など)
- 自衛隊・警察・消防OBによる講義や訓練プログラム
- 学外フィールド調査(地域の防災計画や避難所の運営など)
子:
理論だけじゃなくて、「どう動くべきか」「どんな体制が必要か」まで学べるんだよね。例えば、災害時の緊急対応の手順を、役割を分担して実際に動いて体験するんだ。
学びのステップ|“安全をつくる”専門家になる4年間
● 1年次:危機管理の全体像を知る
- 危機とは何か?どんな種類があるか?という基礎を広く学習
- 日本や世界のリスク事例を調べる「ケーススタディ」が豊富
- 情報収集・分析の基本スキルやプレゼン技法を学ぶ
● 2年次:分野別の専門性と技術を深める
- 災害対策/犯罪防止/情報セキュリティ/社会心理とパニックなど
- 公共機関・地域団体と連携して、実地調査やヒアリングを実施
- シミュレーション型の演習授業で危機対応力を養成
● 3年次:現場での実践力を強化
- インターンシップ(自治体、官公庁、企業、メディアなど)
- 危機管理に関する研究テーマを自分で設定し、調査・検証
- ゼミナールで「災害対応の意思決定」や「リスク評価モデル」などに取り組む
● 4年次:卒業研究と進路の具体化
- これまでの学びをもとに、卒業研究で社会への提案をまとめる
- 災害・テロ・情報漏えい・国際問題など多様なテーマから自由に選べる
- OBOGや外部連携機関との交流会で、進路選択を後押し
学生の雰囲気|“真面目だけど行動派”。現場で役立つ力を磨く仲間たち
- しっかりとした社会意識を持ち、問題意識が高い学生が多い
- 警察官・消防士・自衛官などを目指す学生も多く、規律正しい印象
- 一方で、NPO活動や地域ボランティアにも積極的に参加する柔軟さもある
子:
「将来、誰かを守れる人になりたい」っていう気持ちを持ってる人が多いかな。熱意と冷静さを両立した、落ち着いた雰囲気の学部だよ。
就職・進路|「安心・安全」を担う幅広いフィールドへ
主な進路分野
- 公務員(国家・地方)…防災部門、消防、警察、自衛隊
- 危機管理関連企業(セキュリティ会社、損害保険、BCP関連)
- マスコミ・報道機関(災害・安全報道の専門職)
- 大学・研究機関への進学(リスクマネジメント、公共政策)
- 一般企業のリスク管理部門、総務・法務部門
キャリア支援
- 公務員試験対策講座が充実(筆記・面接・体力測定対策まで)
- 学部独自の危機管理インターン制度あり
- 卒業論文=「社会への提案資料」として企業や自治体にも活用されることも
保護者の方へ|どんな子におすすめ?
- 社会問題・災害・防災などに強い関心がある子
- 公務員や消防・警察など、公共性の高い仕事を目指す子
- 情報収集・分析・判断に興味があり、論理的に物事を考えるのが好きな子
- 一つの分野にとどまらず、幅広く学びたい子
- 「人の役に立ちたい」「安心をつくる仕事がしたい」と感じている子
子:
危機管理って、大げさな話じゃなくて、日常の備えでもあるんだよね。たとえば、「避難所にお年寄りがどう動けるか」とか。
親:
なるほど…。自分の頭で考え、人の命を守る行動ができる人。まさに、これからの社会が求める人材ね。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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