「海洋政策科学部」って?“海と人間社会”の持続可能な共生を学ぶ学部
親: 「海洋政策科学部」って、正直なじみがない名前だけど、どんなことを学ぶの?
子: 一言でいうと、「海に関するすべてを、文系と理系の両方から学べる学部」だよ。
気候変動、エネルギー、海上輸送、海洋安全保障、漁業、港湾政策、環境保護――全部が対象になる。
親: えっ、そんなに幅広いの? 工学とか法律とか、ぜんぶ混ざってるのね。
子: そう。もともと「海事科学部」だった学部が進化して、社会科学+自然科学+工学+国際関係+政策論が一体になった、かなり珍しい学部なんだよ。
学部の特徴|「文理融合×海の総合知」で未来の海をデザインする
- 船・港・海洋資源・エネルギー・気象・物流・国際法などを総合的に学ぶ
- 政策・マネジメント・テクノロジー・環境科学を横断的に修得
- 実習船「深江丸」や臨海キャンパスを使ったリアルな海洋教育
- 地域(神戸港)と国際社会(IMO・UN)を結ぶ実学重視の教育
- 海洋国家・日本の未来を担う人材育成がミッション
子: 環境問題も、物流も、エネルギーも、全部「海」とつながってるでしょ?それを統合的に扱える学部って、全国でもここだけなんだ。
学びのステップ|1年次から“文理ミックス”で学際的に進む4年間
● 1年次:教養と海の基礎リテラシーを習得
- 数学・物理・化学・英語などの基礎
- 法学・経済・国際関係など社会科学も並行して学習
- 海洋学入門、船舶概論、気象と海洋の基礎講義
- グループ討論型の課題探究や、フィールドワークも早期から導入
● 2年次:専門領域ごとの導入+文理融合教育が本格化
- 船舶運航学・海洋工学・海洋環境科学・物流マネジメント
- 海洋国際法・海事経済・港湾政策・資源政策
- シミュレーター実習(航海・操船シミュレーション)
- データ分析・GIS活用・計量経済など多様な手法を修得
● 3年次:コース分属+専門ゼミ+プロジェクト型授業
- 学生は3コースから選択(※詳細は後述)
- 研究室に近いゼミ形式の授業で、専門課題に取り組む
- 港湾施設、海事機関、国際会議の見学・実地調査もあり
- 留学生との共同授業・ディベートも導入
● 4年次:卒業研究で“自分の海の問い”を探求
- 港湾再編、ブルーカーボン政策、洋上風力開発、安全航行AIなど多様なテーマ
- 教員の個別指導+実地調査+データ分析で研究を進行
- 英語でのプレゼン、国際論文を用いた卒論指導も多数
- 希望者はそのまま大学院(海事科学研究科など)へ進学可能
3つのコース|専門性とキャリアをつなぐ「分野別履修」
① 海洋政策・管理コース
- 法律、経済、政策、環境ガバナンス、海洋安全保障
- 目指す進路:公務員、国際機関(IMO等)、政策研究、港湾経営
② 海洋環境科学コース
- 海洋生態系、気候変動、海洋汚染、資源循環、ブルーカーボン
- 目指す進路:環境コンサル、海洋研究機関、大学院進学、NGO
③ 海洋機械工学コース
- 船舶工学、構造解析、ロボティクス、再生可能エネルギー
- 目指す進路:造船・重工業、再エネ企業、技術職公務員、エンジニア
子: 理系・文系どちらからでも入れるし、途中で興味が変わっても柔軟に移れるのがこの学部のいいところなんだ。
フィールドと実習|“海を知るには、海に出よ”
- **深江キャンパス(神戸港沿い)**に立地。臨海実験・観測が可能
- **実習船「深江丸」**での操船・測量・海洋観測実習(泊まり込みあり)
- 港湾局・環境局・水産庁・商社などとの連携講義
- 海洋プラ問題に関する現地調査、ドローン+センサー活用
- 洋上風力発電所見学や海事展示会への参加
親: 「教科書に書いてある」じゃなくて、「実際に見て、測って、考える」ってスタイルなのね。
子: うん、だから文系出身でも理系出身でも、現場の体験を通じて一緒に学べるんだよ!
学生の雰囲気|多様性と探究心にあふれた“海を愛する仲間たち”
- 全国から集まる“ちょっとニッチな好奇心”を持った学生たち
- 船が好きな人、海洋環境問題に熱い人、国際協力を志す人など多様
- 男女比はほぼ半々。女性比率が年々増加中
- 院進学、起業志向、公務員志望など、将来像もバラバラ
- 語学力が高い学生や、理数系が得意なタイプも多い
親: なんだか、少数精鋭で落ち着いた、でも面白そうな空気があるわね。
子: そうそう。仲間は少ないけど、みんな専門性に個性があるから、議論も毎回めちゃくちゃ濃いんだよ!
就職・進路|“海とともに生きる”キャリアが広がる!
● 主な就職先
- 国土交通省・環境省・水産庁・海上保安庁(技術系含む)
- 港湾・物流企業(三井倉庫、川崎汽船、日本郵船など)
- 環境・建設コンサル(オリエンタルコンサルタンツなど)
- 造船・プラント(ジャパンマリンユナイテッド、IHI、三菱重工)
- エネルギー(再エネ・海洋開発系企業)
- 商社・国際NGO・JICAなど国際系キャリアもあり
● 大学院進学
- 神戸大学大学院 海事科学研究科(進学率は40〜50%前後)
- 他大学(東京大学 海洋技術環境、東海大、東大公共政策など)
- 海外大学院への進学例もあり(ノルウェー・韓国など)
保護者の方へ|どんな子に向いている?
- 海が好きで、自然や社会との関わりに興味がある子
- 環境・国際・安全保障・エネルギーなど幅広い分野に興味がある子
- 理系・文系を問わず、課題解決に取り組みたい子
- 実地での観察・フィールドワークが好きな子
- 専門性と社会性を両立したキャリアを描きたい子
子: 海洋政策科学部って、学問の“海”も広いし、進路の“海”も広い。だからこそ、「やってみたい」がある人にぴったりの場所なんだ。
親: 確かに、いまの時代、“海から見た社会”ってすごく重要ね。将来が楽しみになってきたわ。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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