「東大の医学部」ってどんなところ?エリート中のエリート?
親: 東大の医学部って、やっぱり別格なのかしら?頭がいいだけじゃついていけないって聞いたことがあるけど…。
子: たしかに学力は全国トップクラスだけど、それだけじゃないよ。東大医学部では、「科学的探究心」と「社会貢献への責任感」の両方が求められる。“人の命を預かる”医師としての覚悟と、研究者としての思考力を育てる場所なんだ。
親: 確かに、命を守るには知識だけじゃ足りないものね。
子: うん。患者さん一人ひとりに向き合う姿勢と、医学を未来に進める知的好奇心の両立が求められてるんだ。
学部の特色|「基礎・臨床・研究」を三本柱にした医学教育
東京大学医学部医学科(6年制)は、次のような3本柱で構成されています:
- 基礎医学(1〜3年):人体構造、機能、病理、薬理などの科学的理解
- 臨床医学(4〜6年):診療スキル、診断力、患者との対話
- 研究医学(全期間):常に「なぜ?」を問う姿勢。研究室配属もあり
さらに、倫理・法律・社会制度なども重視され、**“チーム医療”や“社会の中の医師像”**を徹底的に育てるカリキュラムになっています。
カリキュラムの流れ|段階的に“医師の心・技・知”を習得
● 1〜2年次(教養・基礎医学)
- 駒場キャンパスでの教養教育(哲学・倫理・語学など)
- 解剖学・生理学・生化学など、生命科学の土台を構築
- 医学英語、情報処理など、国際化時代のスキルも習得
● 3年次:本郷キャンパスに移り専門医学へ
- 病理学・薬理学・微生物学など、より臨床に近づく学問
- 「統合講義」で各科のつながりを学び、医学的思考を養う
● 4年次:臨床の扉を開く
- 模擬診察、シミュレーション、グループ演習
- 医療面接やチーム医療のトレーニングが本格化
● 5〜6年次:東大病院を中心とした臨床実習(クリクラ)
- 実際の診療現場で患者さんと接しながら、診断・治療・説明を経験
- 指導医のもとで、リアルな医療チームに参加
- 総合診療、救急、外科、内科、小児、産婦人科、精神科…あらゆる現場を体験
子: 6年生では、学生とはいえ、患者さんの命を守る一員として真剣勝負になるよ。
実習・研究|“知識を使って考える”本物の医療教育
- 東大病院(本郷)での最先端臨床:がん、循環器、脳外科、感染症など
- 研究室配属:脳科学・再生医療・AI医療・公衆衛生など多彩なテーマ
- 国際実習プログラム:ハーバード、UCLAなどと連携した短期・長期留学あり
- 模擬患者制度やVR診察訓練など、先端教育技術を導入
学生の雰囲気|「超優秀×素直な努力家」たちの集団
- 高校時代に全国トップだった学生たちが集う環境
- だが競争より**「協調・共有・自己管理」**が重視される
- 東大医学部名物「自主ゼミ」「勉強会文化」が根付いており、先輩後輩の交流が盛ん
- 研究者志望・臨床医志望・官僚志望など多彩な志向が混在
- 体育会・音楽・アート・起業など、学外活動にも精力的
親: 一見ストイックに見えて、バランスよく成長してるのね。
主な進路|医師国家試験後の選択肢が広すぎる!
- 臨床医(大学病院・地域医療・総合病院)
- 研究医(大学院→Ph.D.→医学研究者)
- 厚労省・官庁・国際機関勤務(医系技官)
- ベンチャー起業・医療系スタートアップ
- 海外留学・国際医療貢献(MSF、JICA医師など)
子: “医者になる”ことはゴールじゃなくてスタート。「どう生きる医師になるか」が問われる学部だと思う。
保護者の方へ|こんなお子さんに向いています
- 命と真剣に向き合いたいという強い意志を持つ子
- 生物や化学が好きで、医学的思考に興味がある子
- チームで動く力、コミュニケーション力を育てたい子
- 受験後も勉強し続けたい「探究型」の子
- 研究にも、国際的な視野にも、チャレンジしたい子
東大医学部の“その先”まで見据えて
子: 「東大だからすごい」じゃなくて、「ここで何を学び、誰のために生きるか」が大事なんだ。
親: 人を救う力って、知識だけじゃなくて人間性が試されるのね。まさに、将来を託したくなるような学び場ね。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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