「農学部」って“農業だけ”じゃないんだって？
親： 「農学部」って、正直“農業”のイメージしかないんだけど、東大では何を学ぶの？
子： 実は「食」「環境」「生命」「資源」「地域」「国際問題」まで幅広く扱う学部なんだ。東大農学部では、バイオサイエンスから環境工学、経済学まで、地球と人間の未来を科学の目で見つめ直しているよ。
親： ずいぶん幅広いのね！農作物だけじゃなくて、社会課題にも踏み込んでるのね。
子： そう。「農業のための学問」じゃなくて、「人類と地球の共存のための学問」って考えるとわかりやすいよ！
学部の特徴｜生命・環境・経済が融合する学際的フィールド
東京大学農学部には、以下のような分野が統合されており、学際的な学びが展開されています。
- 生命科学分野（農芸化学・応用生命化学・獣医学など）
- 微生物・酵素・植物ホルモン・発酵・バイオマスなどの研究
- 資源・環境科学分野（森林・水産・農業土木）
- 森林保全、水産資源管理、里山の復元、温暖化対策
- 農業経済・地域開発分野
- 食糧安全保障、アグリビジネス、農村活性化
- グローバルアグリカルチャー・国際開発分野
- アフリカ・アジアでの農村開発、国際協力、SDGs
子： 理系と文系が混ざる不思議な学部とも言えるんだ。生物も環境も経済も、どれも「地球と生きる」ための学問だから。
カリキュラム｜“理論→実験→フィールド”の三段構え
● 1〜2年次：基礎科学と教養をバランスよく学ぶ
- 数学、物理、化学、生物の理系科目
- 生命科学・環境科学の導入科目
- 東京大学ならではの幅広い教養教育（駒場キャンパス）
- 実験や野外調査の初歩もこの時期から経験
● 3〜4年次：本郷キャンパスでの専門深化＋研究開始
- 所属する学科の専門実験・演習が本格化
- フィールドワーク：山梨演習林、北海道の水産実習場など
- 農場、牧場、研究農園での実習あり
- 自分の研究テーマを決め、卒業論文に向けた実験を開始
子： 森の中で昆虫を採ったり、田んぼに入って稲を育てたり、都市の研究じゃ味わえないリアルな自然との関わりがあるよ。
現場主義の実習と研究｜地球まるごとが教室になる
- **演習林（秩父・長野・北海道など）**での樹木観察・測量・植生調査
- **水産実験所（静岡県・館山）**での海洋調査・漁業体験
- **農場（東大農場）**での作物栽培、温室実験、家畜管理
- フィールドステーションを活用した地域調査
- **国際実習（アジア・アフリカ）**も選抜で参加可能
教育・研究環境｜“世界一の農学部”を支える圧倒的リソース
- アジア屈指の農学ライブラリ「農学図書館」
- 100年以上の歴史を持つ演習林・附属牧場
- 企業・行政との連携プロジェクトが豊富
- 東京大学大学院 農学生命科学研究科との連携強化（ほぼ全員が進学）
- 英語による授業、外国人研究者との共同研究も日常的
学生の雰囲気｜「地に足ついた理系」たちの集まり
- 穏やかでまじめ、だけど個性豊かな学生が多い
- 理系の中でも“人間味”や“社会性”のあるタイプが多い
- 生物好き、昆虫マニア、農業系の実家出身、環境保護志向の学生など多様
- 「就活より、まず地球のこと」と言う学生も
主な進路｜科学と社会をつなぐ多様な出口
- 食品・医薬品・化学メーカー（味の素、アサヒ、武田薬品、資生堂など）
- 農林水産省・環境省・JICA・地方自治体などの官公庁
- コンサル、商社（農業開発・環境部門）
- 獣医師、公務員獣医、環境NGOなど
- 大学院で研究者・大学教員を目指す進学者も多数
保護者の方へ｜どんな子に向いている？
- 生き物が好きな子、自然との関わりに興味がある子
- 実験だけでなく、自分の足で現場を見たい子
- 環境問題や食糧問題を「自分ごと」として考えたい子
- 理系科目が得意だけど、「社会性」や「人間らしさ」も大事にしたい子
- 英語や国際的視点を持って将来の仕事を考えたい子
子： 農学部って、“田舎で農業”だけじゃなくて、“世界と未来のための科学”ってことを知ってほしいな。
親： なるほどね。知識だけじゃなくて、現場に行って自分の目で確かめる姿勢が育ちそうね。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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