「造形学部」って?“芸術を専門として生きる力”を育てる本流
親: 武蔵野美術大学のなかで、「造形学部」っていうのは一番メインの学部なの?
子: うん、まさに“美大らしさのど真ん中”っていう学部だよ。絵画、彫刻、視覚伝達、空間、工芸、建築、映像など、表現ジャンルごとの専門性を高める学部なんだ。学生は“創作を一生の仕事にしたい”って覚悟を持って入ってくる人も多いよ。
親: いわゆる“手を動かして作る”ってことをとことんやるのね?
子: そう。でも、それだけじゃない。「なぜ作るのか」「何を伝えたいのか」っていう“コンセプト”を大事にする教育だから、表現力と同時に思考力もめちゃくちゃ鍛えられる学部なんだ。
学部の特徴|“専門性”と“表現力”を磨く、武蔵美の中心的存在
● 多彩な専門領域で“自分の表現”を追求できる
- 絵画、彫刻、デザイン、建築、工芸、映像メディアなど、分野ごとの専攻制
- 1〜2年次で技術と素材の幅広い基礎を学び、3年次以降は個人テーマに没頭
- 手描き、立体、デジタル、映像など表現手段は自由自在
● “制作”が主役の時間構成
- 制作実習の時間は週に20時間以上。ほぼ毎日アトリエにこもるような日々
- 教員や同級生からの講評(クリティーク)を通して、作品の意味や完成度を深める
- 課題に対して“自分なりの解釈”を提案し、唯一無二のアウトプットを目指す
● 美術史・芸術論・現代思想との接続
- 制作だけでなく、芸術史・哲学・批評理論を並行して学ぶカリキュラム
- 「感覚」だけに頼らず、文化的・社会的な背景を読み解く力を育てる
- 国際展やアートフェア、建築現場などへの学外研修も充実
学びのステップ|“素材”と“思考”を重ねていく4年間
● 1年次:基礎造形で土台をつくる
- 色彩構成、立体構成、ドローイング、写真基礎など多彩な基礎実習
- 木・金属・石・布・映像などさまざまな素材に触れ、手の感覚を養う
- 講評会・合同制作・ワークショップで、「表現=対話」であることを学ぶ
● 2年次:専攻領域に分かれ、技術と個性を磨く
- 油絵、グラフィック、インテリア、陶芸、建築、映像など分野別カリキュラムに本格突入
- 実際の展覧会出展、コンペ応募、企業とのコラボ課題も増加
- 素材×コンセプト×発信力の3軸で「表現の軸」をつくる
● 3年次:自己テーマを探究し、作品で“問いを発する”
- 年間を通じて個人制作プロジェクトに没頭(例:個展・連作・短編映像など)
- 複数の教員からアドバイスを受け、作品の精度と深さを高める
- 海外美大や作家との交流・合同展示も視野に
● 4年次:卒業制作で「生き方としての表現」を世に問う
- 自由テーマでの卒業制作展は**“自分の4年間を社会に見せる”場**
- インスタレーション、建築模型、映像作品、陶芸、平面…ジャンルの垣根はなし
- 作品だけでなく、ステートメント(言葉)を通じて「なぜ表現するのか」を伝える訓練も重要
実績・支援|表現を“職業”につなげる本気のサポート
- 学内公募展・コンペティション多数、プロとの出会いの場も豊富
- ポートフォリオ制作・個別進路相談・作品添削などキャリアセンターが美術系に特化
- 卒業後もOB/OGとのネットワークで継続的な展示支援・情報提供
- 「就職」と「作家活動」の両立を支える多様な支援制度あり
学生の雰囲気|“孤独な没頭”と“共有する熱”が混在する場所
- 各自の作品に没頭する時間が多く、一人でとことん向き合う気質の学生が多い
- 反面、展覧会準備や合同制作での“仲間との密な連帯”も生まれやすい
- 教員との距離が近く、「制作で悩むことを“話せる”美大」として評判
- 全体として“本気でつくる人を尊重する文化”が強い
就職・進路|「つくる力」+「考える力」で活躍の場は無限大!
● 主な進路分野
- デザイン会社(広告・空間・Web・プロダクト)
- 映像制作(映像編集・アニメーション・CM制作)
- 建築・インテリア・都市計画関連企業
- 美術作家・クラフト作家・ギャラリー所属
- 公立・私立美術教員/造形指導/ワークショップ講師
- 美術系大学院(国内外)や留学
● サポート体制
- 就職活動用ポートフォリオの徹底添削
- 展示・出版・クラウドファンディング支援制度
- インターン紹介や企業マッチングイベントも多数開催
保護者の方へ|こんなお子さまに向いています
- 芸術や表現に強い関心があり、創作を「人生の中心」に置きたい子
- 絵や立体、映像など、手を動かして形にすることが得意な子
- ひとりの時間を大事にしながらも、他人の表現に興味をもてる子
- 自分の中の「問い」や「感情」を、作品として外に出したい子
- 将来、作家・デザイナー・建築家・美術教員などを志している子
子: 正直、大変なことも多いけど、ここに来て「自分の表現を信じていいんだ」って思えるようになったよ。
親: “ものをつくる力”って、技術だけじゃなくて、人間としての深さにもつながっていくのね。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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