「海洋工学部」って?“海を支える技術者”を育てる、ちょっと特別な工学部
親: 「海洋工学部」って、普通の工学部と何が違うの?
子: 一言でいえば、“海の上で動く技術”を専門に学ぶ工学部だよ。東京海洋大学の海洋工学部では、船舶・エネルギー・海上輸送・海洋環境などを対象に、実際に“海で使える技術”を育てるのが特徴なんだ。
親: へえ、船や海に関わる技術って、専門性が高そうね。
子: そうなの。だから授業もユニークで、実験・シミュレーション・実習航海までそろってる。将来は、航海士や船舶エンジニア、造船・海運企業などに進む人が多いよ。
学びの特徴|「海×技術」を多角的に学ぶ、実践型の海洋工学教育
● 船と海の“しくみ”を支える2コース制
- 海事システム工学コース:航海・船舶運航・安全管理・海上輸送のプロを目指す
- 海洋電子機械工学コース:船のエンジン・エネルギー制御・ロボットなどの技術者を育成
どちらも“海で働く工学”をベースに、座学+演習+実習がバランスよく組まれている。
● 実験・実習・訓練航海が豊富
- 模擬ブリッジ(操船シミュレータ)での航海演習
- 大学所有の実習船での洋上実習(遠洋航海もあり)
- 機関の解体・整備演習や、電気・燃焼・流体の実験も多数
● 国際的な資格取得とチーム医療的学び
- **三級海技士(航海・機関)**の資格取得に直結するカリキュラム(国家資格)
- チームでの操船訓練や機関演習で“海で働く現場感覚”が身につく
- 将来、国際航路で活躍する人材を育成する教育方針
学びのステップ|“理論と実技”を往復しながら海のプロへ
● 1年次:理工学の基礎と海洋への導入
- 物理・数学・化学に加えて、工学基礎、海洋学概論を履修
- 模型実験・船体構造の入門授業も開始
- シミュレーションや安全管理の基礎にも触れる
● 2年次:専門科目+実験が本格化
- 船舶力学・流体力学・海洋機械・エネルギー変換などの専門分野を習得
- 小型エンジンの分解整備や、ブリッジ実習で運航の基礎力を養う
- 船舶設計や構造材料の知識もこの時期に学ぶ
● 3年次:実習航海+資格取得の準備期間
- 海上実習(遠洋航海)のため、実習船での訓練に参加
- 海技士の受験に必要な実技経験・履修を進める
- 専門ゼミに所属し、課題解決型の演習がスタート
● 4年次:卒業研究と進路決定
- 自らの関心に応じて、燃焼・ナビゲーション・自律航行・環境保全などのテーマを研究
- 海運会社、造船企業、商社などの就職活動を本格化
- 一部学生は海上保安庁・大学院進学・国際機関も目指す
学生の雰囲気|理系だけどアウトドア。“海好き”で熱い仲間が多い
- 船・海・工学に強い関心を持つ、目的意識の高い学生が多い
- 真面目でコツコツ型だが、実習では思い切りの良さも求められる
- 実習航海での共同生活があるため、仲間意識・責任感が強くなる
- 学年を超えた縦のつながりも強く、サポートし合う文化がある
就職・進路|「海の技術者」として幅広い業界で活躍
● 主な進路分野
- 商船会社(日本郵船、商船三井、川崎汽船など)
- 造船・重工業(IHI、三菱重工、ジャパンマリンユナイテッドなど)
- 港湾・物流・海運系商社・機器メーカー
- 海上保安庁・国交省・自衛隊など公的機関
- 大学院進学(海事工学・エネルギー・環境科学系)
● 資格と支援体制
- 海技士(航海・機関)国家資格の受験指導が充実
- 船会社・造船会社との産学連携による説明会や推薦制度あり
- 就職率・国家資格合格率ともに高水準を維持
子: ここは“船の工学”をちゃんと学べる、全国でも数少ない学部。海が好き・機械が好きなら、これ以上ない環境だよ。
保護者の方へ|こんなお子さんにおすすめです
- 海や船、機械、エネルギーに興味がある子
- 将来、技術者として国内外で活躍したいという志がある子
- チームでの活動や長期の実習を前向きに楽しめる子
- 工学と現場の両方を大事にしたい子
- 国家資格取得や専門性の高い進路を目指す子
親: なるほど、海を支える“縁の下の力持ち”としての技術者って、すごく重要なお仕事なのね。
子: うん。船が動くって当たり前のようだけど、それを技術で支える人たちがいてこそ、世界の物流も成り立ってるんだよ。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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