「美術学部」って？“表現する力”を極めて、社会に問いかける芸術家を育てる場所
親： 芸術大学って、すごく自由そうだけど、何を学ぶのかイメージがつかないわ。
子： 東京藝術大学の美術学部は、絵を描くだけの場所じゃないんだよ。「つくる」「感じる」「伝える」を徹底的に鍛えて、社会と向き合う芸術家を育てる、日本で最も伝統ある芸術大学なんだ。
親： 絵や彫刻の技術だけじゃなく、社会とのつながりも大事にしてるのね。
子： そう。東京藝大の美術学部では、表現の技術も考える力も、どちらも本気で磨いていくんだ。
学びの柱は「技術・思想・社会との対話」！一人ひとりの表現を支える環境
● 表現の土台となる専門性を深く学ぶ
- 日本画、油画、彫刻、工芸、デザインなどの領域で高度な専門教育
- 素描（デッサン）や構成など基礎力の徹底習得から始まる
- 伝統技法と現代的表現を融合した指導体制
● 創作を支える思想・批評・哲学的思考
- 芸術論、美学、社会思想などの座学も重視
- 作品を「どう伝えるか」「なぜつくるか」を問い続ける授業
- 芸術を通して時代や社会を読み解く視点を獲得
● 社会とつながる芸術実践
- 展覧会、公共アート、地域プロジェクトなど実践の機会多数
- 学外展示や国際交流プログラムで視野を広げる
- アートを通じて福祉や教育にも貢献する取り組みも
子： 芸術って「自分の好きなことをやる」だけじゃなくて、「社会とどう向き合うか」が問われるものなんだって実感するよ。
学びのステップ｜1年目から専門性を追求し、4年間で“自己表現の核”をつくる
● 1年次：基礎造形・素描・共通課題で幅広く学ぶ
- 日本画・油画・彫刻・工芸など分野を越えて基礎を徹底訓練
- デッサン、色彩構成、立体構成などの課題で表現の土台を築く
- 芸術学や美術史を通じて、芸術の背景や意義を知る
● 2年次：所属分野での専門実技が本格化
- 作品制作に多くの時間をあて、自主性・表現力を育成
- 技術の習得とともに、作品に込める「意味」や「思想」も深く考える
- 教員との1対1のやりとりを通じたきめ細かな指導
● 3年次：自分のテーマと本格的に向き合う
- 専門制作＋理論研究の融合による探究活動
- 芸術祭や学内外の展示会で作品を発表
- 留学制度や国内外の交流プロジェクトにも参加可能
● 4年次：卒業制作で4年間の集大成
- 数か月かけて一点の大作や研究テーマに取り組む
- 公開展示される卒業制作展で外部の評価も得る
- 自らの芸術観を表現し、進路へつなげる
「一人ひとりの表現」に真剣に向き合う、濃密な学びの場
- 指導教員と学生の密なやりとりが基本スタイル
- 作業場は朝から晩まで開放、自主制作の時間が豊富
- 技術的な指導に加えて「表現するとは何か」まで深く対話
- 他専攻の学生との刺激的な交流も活発（横断プロジェクトなどあり）
親： 自由に見えるけど、実はすごく厳しくて濃い学びなのね。
子： うん。「好きなことを極める」っていう覚悟が求められる場所だよ。
学生の雰囲気｜表現に真剣で、孤独も楽しめる“強くて繊細な人たち”
- 技術よりも「何を表現したいか」を大切にしている学生が多い
- 静かに没頭するタイプから、人と話して刺激を受けるタイプまでさまざま
- 他人と比べるより“自分との対話”を大切にする空気
- 一見バラバラでも、作品を通じて深くつながる関係性
就職・進路｜“芸術で生きる”も、“芸術を活かす”も、どちらも可能
● 主な進路先
- 美術作家・デザイナー・イラストレーター・映像作家など創作職
- 美術教師・芸術系大学院進学・アートマネジメント分野
- 博物館・美術館・文化財保護などの文化機関
- 広告・出版・ゲーム・映像など創造産業への就職
- 地域アート・NPOなど社会活動型キャリアも増加中
● サポート体制
- 卒業制作を通じて、ポートフォリオや自己表現を形にできる
- 就職ガイダンスや企業訪問も実施（デザイン分野など）
- 学内外の展示活動・コンペ・助成金応募サポートもあり
子： アーティストになる人もいれば、企業でデザインや企画に関わる人もいるよ。藝大出身ってだけで、信頼される場面も多いんだ。
保護者の方へ｜どんな子におすすめ？
- 描く・つくることが大好きで、ひとつのことに打ち込める子
- 「なぜ表現するのか？」を真剣に考えられる子
- 技術だけでなく、考えをカタチにしたい子
- 忍耐力があり、自分を深く見つめられる子
- 芸術を通して、社会や人と向き合いたいと思っている子
子： 芸術って、自分の内側と社会の外側をつなぐことだと思うんだ。
親： 表現する力って、これからますます必要になるのかもしれないわね。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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