「生命理工」って、生物系?医学系?
親: 生命理工学院って、「生物学」なの?それとも「医療系」「バイオ系」?いまいちイメージがつかみにくいんだけど…。
子: 一言で言うと、「生命を“理系”で解き明かして、“工学”で応用する」学問だよ。生物学の探究に加えて、医療・創薬・農業・環境・再生医療など、社会で使える技術として命の仕組みを生かすのが生命理工学院なんだ。
親: つまり、理学的な「知る」に加えて、工学的な「使う」もあるのね。
子: そうそう。東京科学大学の生命理工学院は特に、「分子レベルから人間レベルまで」カバーしていて、基礎研究と実用のバランスが取れた最先端のバイオ系学部だよ。
どんな分野に分かれているの?
親: 生命って分野が広そうだけど、学院の中ではどんな専攻に分かれているの?
子: だいたい以下のような系があるよ:
- 生命科学系:遺伝子、細胞、タンパク質などの基礎生物学・分子生物学
- 生体システム系:脳科学、神経回路、生命情報、AIとバイオの融合など
- 生物プロセス系:バイオマス、酵素、発酵、再生可能エネルギー技術
- 医用生体工学系:医療機器、再生医療、バイオマテリアル、ロボット応用など
1〜2年で基礎を固めたあと、3年生から研究室に所属して、自分の興味に合ったテーマを深めていくスタイルだよ。
親: 医学部じゃなくても、医療に関われるのね。
子: そうなんだ。医師にはならないけど、医療技術や創薬、再生医療の研究者・技術者として医療の未来に貢献する道が開けてる。
授業や研究はどんな感じ?実験だらけ?
親: 理系のバイオ系って実験ばかりって聞くけど、やっぱりそうなの?
子: 実験は本当に多いよ(笑)。細胞培養、PCR、ゲノム編集、動物実験、顕微鏡観察など、毎週のように実験があって、レポートも書く。研究室に入ると、自分のテーマをもとに1〜2年かけて本格的な研究をするから、“手を動かして考える”力が育つよ。
親: 研究のテーマってどんな感じなの?
子: たとえば「iPS細胞を使った組織再生」「AIによるがん細胞の画像判別」「環境に優しい微生物の開発」「脳波から感情を読み取る装置」など。まさに“命の未来をつくる”テーマが多い。
学生の雰囲気は?やさしくて理系?それとも理論派?
親: 医療や生き物が好きな子って、優しそうなイメージがあるけど、どんな学生が多いの?
子: 落ち着いた子が多いよ。どちらかというと「地道にコツコツ型」。でも内に秘めた熱意は強くて、自分の研究にハマると夜中まで実験してるような子もいる。チームで実験する機会も多いから、協調性ややさしさがあるタイプが多い印象。
親: 男女比はどうなの?
子: 他の理系学部に比べて女子比率が高いのが特徴だよ。感性や人への関心が強い子が多いから、和やかだけど研究熱心な雰囲気がある。
就職は強い?研究職ばかり?
親: 医師にはなれないけど、卒業後の進路ってどうなってるの?
子: 実はすごく幅広い!大学院に進んで研究職や開発職に就く人も多いけど、企業の研究・開発・分析・品質管理、製薬・化粧品・食品メーカー、医療機器、さらにはIT企業や教育業界に行く人もいるよ。
親: 研究一筋じゃなくてもいいのね。
子: もちろん。生命科学は“どんな産業にも関係している”分野だから、柔軟なキャリアが築けるんだ。あと、近年はバイオ×AI、医療×データの分野でもニーズが高いよ。
主な就職・進学先:
- 製薬・化学(武田薬品、第一三共、資生堂、花王など)
- 食品・飲料(味の素、キッコーマン、森永、明治)
- 医療機器・バイオベンチャー(テルモ、オリンパスなど)
- 研究機関・大学院(理研、JST、東京科学大学大学院)
- IT・コンサル(アクセンチュア、楽天、製造業向けAI企業など)
印象に残った授業や経験は?
親: 勉強や研究で「これは忘れられない」っていう経験はある?
子: 自分の手で細胞を育てて、それが想定通りの動きを見せたときの感動はすごかった。「生きてるってこういうことか」って実感できた。あとは研究発表会で、教授や企業の人から質問されて、「自分の知識が社会とつながった」って思えたのも忘れられないよ。
最後に、保護者の方へひとこと
親: 医療や生命系って、先が見えにくい部分もあって、正直少し心配もあるのよね。
子: でも、東京科学大学の生命理工学院は、「命を科学する」っていう、どんな時代にも必要とされる分野の最前線にいる場所。医療・食・環境・健康・教育……全部に関われる可能性があるから、“人生の応用範囲”がとても広い。研究も就職も、自分のペースで探していけるから安心して大丈夫!
親: どんな子に向いてると思う?
子: 「人間や生き物に興味がある」「医療や健康に貢献したい」「コツコツと研究に打ち込むのが好き」――そんな子には、この学院がぴったりだよ!
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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