「地域学部」って、どういうことを学ぶの?――いえ、“地域をつくる”学びです
親: 「地域学部」って珍しい名前ね。具体的には何を勉強するの?
子: 一言で言うと、「地域を理解し、地域の未来をつくる力」を学ぶ学部なんだ。鳥取大学の地域学部は、地域の教育・文化・社会・自然・経済を総合的にとらえて、地域に根ざした視点で課題解決に挑む学びなんだよ。
親: 地域づくりや地方創生って、今の時代にすごく大事なテーマね。
子: そう。だからこそ、教室の中だけじゃなくて現場=フィールドに出て学ぶスタイルが当たり前になってる学部なんだ。
3つのコースで「地域と人」に多角的にアプローチ
● 地域創造コース(地域政策・社会・経済・文化)
- 地方自治、まちづくり、社会福祉、地域経済などを学ぶ文系中心の領域
- 地域課題の解決に必要な政策立案・調査分析・住民との対話力を身につける
- 地方行政やNPOとの連携活動も豊富で、フィールドベースの授業が充実
- 地域の歴史や文化資源を活かした観光やまちづくり企画にも挑戦
● 地域教育コース(教育・子ども・発達・学校支援)
- 教職課程と連動して、教員養成を含む教育分野を探究
- 小学校教員を目指す学生が多く、地域の学校との連携が非常に深い
- 「地域で子どもを育てる」をテーマに、学校外の教育活動にも関心を広げる
- 教育の現場体験や教育実践研究がカリキュラムの中心に
● 地域環境コース(自然・環境・防災・持続可能性)
- 鳥取という豊かな自然環境を活かして、生態系や環境問題をフィールドで学習
- 環境調査・地形観察・GIS活用・防災演習などの“現地で学ぶ理系的アプローチ”が魅力
- SDGsや気候変動など、グローバルな環境課題と地域のつながりも重視
- 自然科学と地域社会の関係性を考える“環境からの地域学”を実践
子: 教育・社会・環境、どれを選んでも「地域とのつながり」が学びの軸なんだよ。
学びのステップ|知識→現場→提案→共創へと進化する4年間
● 1年次:地域学の基礎を知り、足元を見つめる
- 地域学入門/地域調査法/現代社会と地域/地域フィールド探究などを履修
- 鳥取県内の集落・学校・自然などへの訪問体験がスタート
- 学びを通して「地域とは何か?」という視点を広げる
● 2年次:コースに分かれて専門性を高める
- 政策論/教育心理/環境科学など、興味に応じた専門領域へ進む
- 演習形式の授業が増え、課題発見→分析→発信という学びの循環が強化
- 地域イベントやフィールドワークへの継続的な参加も活発に
● 3年次:ゼミ+実践型プロジェクトで“地域と協働”
- ゼミで個別テーマを設定(例:「山間集落の防災体制」「外国人と地域社会」など)
- 行政・NPO・学校・地域住民と連携し、共同調査や提案を行うプロジェクトに参加
- 合宿型フィールドワーク、調査報告書の作成、成果発表会も多数開催
● 4年次:卒業研究と進路準備の集大成へ
- 卒論テーマ例:「地域における小規模校の教育的役割」
「高齢化地域における買い物支援と交通政策」
「湿地生態系の保全と地域住民の意識変容」など - 卒業発表会では、学生・教員・地域関係者が集まり真剣な議論が行われる
- キャリアセンター・ゼミ教員の支援で、公務員試験・教員採用試験・一般就職に備える
現場第一主義の地域学|“教室より地域が教科書”になる学び
- 鳥取という“小さくて多様”な地域だからこそ、「気づき」が得られる
- 教員と学生の距離が近く、調査同行・進路相談もきめ細かい
- 地域連携型授業の多さが全国トップクラス
- 1年次から“地域の当事者”として関わるから、実社会と結びついた実感がある
親: 机の上だけじゃ学べない力を、ちゃんと身につけられそうね。
子: うん。“見に行く、話を聞く、やってみる”が当たり前の学部だから、成長が早い気がする。
学生の雰囲気|地域にやさしく、社会に前向きな仲間たち
- 教育や社会福祉、環境問題など“人の役に立ちたい”気持ちを持った学生が多い
- 穏やかで協調性のあるタイプが多く、地域活動やボランティアにも積極的
- 学外の活動に積極的で、視野が広い学生が目立つ
- 他学部に比べて「将来の社会貢献」への意識が高い雰囲気がある
主な進路|“地域と人に寄り添う力”が活きるキャリアへ
● 教員・公務員
- 小学校教員(地域教育コースから多数)
- 地方自治体職員(地域政策、福祉、防災、観光など)
- 国家公務員(文部科学省・環境省系)も一部
● 民間企業・地域団体
- 地域金融機関・地場企業・商工会議所などの地域支援業務
- NPO・地域活性団体・観光関連団体など「地域を舞台にした働き方」多数
- 一般企業の営業・企画・CSR・人材部門など、社会貢献性の高い領域へ
● 大学院進学・研究者
- 地域研究、教育学、社会学、環境学の分野で進学多数
- 地域研究・教育実践・行政政策研究など、実務と研究の両立を目指す人も
保護者の方へ|こんなお子さんにおすすめです
- 地域に興味があり、人との関わりを大切にしたい子
- 教育・環境・まちづくりなどに興味があり、将来社会の役に立ちたい子
- 自分の足で現場に出て、体験を通して学びたいという子
- 教員・公務員・地域支援など“人と社会をつなぐ”仕事に憧れがある子
- 大学で“社会とつながる学び”をしたいと考えている子
子: 「地域を学ぶことは、自分の未来をつくること」って、だんだんわかってきた。
社会のいろんな面がつながってるって、ここで学んで気づけたよ。
親: 教室の中で終わらず、社会に出て、人とつながって考える。
そんな学びなら、どんな時代でもきっと役立つわね。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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