「デザイン学部」って絵を描く学部?――いえ、“社会の課題を形にする学問”です
親: デザイン学部って、やっぱり絵やイラストを勉強するところなの?
子: 確かに絵も描くけど、それは一部にすぎないよ。岡山県立大学のデザイン学部は、**「人の暮らしを、見た目も機能も含めてもっと良くするための学び」**をしてるんだ。
親: 見た目の美しさだけでなく、使いやすさや社会的な意味まで含めた“広いデザイン”なのね。
子: そう。建築、プロダクト、映像、広告、アート、地域活性化など、ジャンルがとても幅広くて実践的。 それぞれに「人のためにデザインする」という共通の視点があるんだ。
デザインの4領域で、“社会に役立つ表現力”を磨く
● ビジュアルデザイン領域
- グラフィック、広告、ブランディング、Web、パッケージデザインなど
- デジタルとアナログを融合させた視覚表現・コミュニケーションの技術を学ぶ
- 社会課題や文化の伝達をテーマにした作品制作も多い
● プロダクト・クラフトデザイン領域
- 家具・日用品・福祉機器・玩具など、“人の手に触れるモノ”のデザイン
- 素材・使い方・安全性・製造方法までをトータルに設計
- 3Dプリンターや木工・金工設備を活用した立体制作が可能
● 建築・環境デザイン領域
- 建物・インテリア・公共空間・地域景観など、暮らしの空間をつくる分野
- 設計図作成・模型制作・CAD演習・地域フィールドワークを通して学ぶ
- 地元自治体や企業と連携した“まちづくり型演習”も展開
● メディア・アート・表現領域
- 映像・写真・音・インタラクティブアート・インスタレーションなど
- 技術と感性を融合させて、「表現の可能性」を広げるクリエイティブ分野
- 社会的メッセージを伝えるメディア制作・アートプロジェクトにも積極的
子: どの領域も、「つくること=伝えること」「使う人を想像すること」って共通点があるんだよ。
学びのステップ|つくる→考える→伝えるを重ねる4年間
● 1年次:造形基礎+表現力の土台を学ぶ
- デッサン、色彩構成、立体造形、写真、CG、構造設計など、幅広い造形演習
- 各領域の紹介授業で進路選択に向けた視野を広げる
- 作品制作と講評を通じて「つくる+語る」経験を積む
● 2年次:専門領域に分かれてスキルを深める
- 専門機材やソフト(Adobe、CAD、Rhinoなど)を本格的に活用
- 社会や地域をテーマにした「課題解決型演習」がスタート
- 公開講評や学外展示会で「伝える力」も磨かれる
● 3年次:プロジェクト制作と外部連携が本格化
- 地域企業・自治体・NPOと連携した産学官プロジェクトに多数参加
- コンペ・コラボ・インターンシップなど、実社会との接点が増加
- ゼミ所属後は、個人制作・調査・作品発表を主体的に進行
● 4年次:卒業制作とポートフォリオづくり
- 卒業制作展は一般公開され、県内外からの評価も高い
- 自分のテーマ・問いに基づいて1年かけて構想・制作・展示を行う
- ポートフォリオ・研究ノート・コンセプト文書の作成指導も丁寧に実施
地域とつながるデザイン教育|“岡山で学ぶ意味”がある
- 地元企業・行政との連携で、実際に使われるデザインを提案・実装する機会が多い
- 地域イベント、商店街再生、観光資源デザインなど、まちづくりの現場と密接
- 岡山の自然・文化・伝統素材を活かした表現が評価されることも多数
親: デザインって“芸術”の延長かと思っていたけれど、社会に役立つ実学なのね。
子: うん。「かっこよさ」よりも、「誰かのためになる表現」って考えるから、地元と連携した学びが本当に刺激になるんだ。
学生の雰囲気|個性豊かで真剣、“静かな熱意”を持った仲間たち
- 美術系の進学校出身や工業高校、普通科から進学した人もバラバラ
- おだやかで落ち着いた雰囲気/お互いの作品に敬意を払う文化がある
- 作品提出前は夜遅くまで残って制作する姿も珍しくない
- 自主性・好奇心・「問いを持ち続ける姿勢」が強い学生が多い
主な進路|“表現する力”と“企画する力”で幅広い道へ
● デザイン・クリエイティブ系職種
- 広告代理店/デザイン事務所/建築設計事務所/メーカー(商品開発)
- Web・映像制作会社、インハウスデザイナー、空間プロデューサーなど
● 地方公務員・教育・地域づくり職
- 自治体の都市計画・文化振興部門などで、住民参加型デザインに携わる例あり
- 美術・デザイン教員(中高・専門学校)や、地域おこし協力隊での活躍も
● 大学院進学
- 岡山県立大学大学院や美術系大学院へ進学し、研究職・教育職・アーティストへ進む道もあり
保護者の方へ|こんなお子さんにおすすめです
- 絵やモノづくりが好きで、「見た目」だけでなく「使い方」まで考えたい子
- 表現するのが好きだけど、“社会で役立つかたち”にしたいと考えている子
- 地域や人の課題に対して、クリエイティブな方法で向き合いたい子
- 自分の感性に自信があり、それを他人と共有したいと思っている子
- 作品をつくるだけでなく、企画・提案・発信することにも興味がある子
子: デザインって、“キレイに描く”ことじゃなくて、“人の気持ちを考えて形にする”ことなんだって、ここに来て本当に実感したよ。
親: 作品の裏にある「伝えたい気持ち」がちゃんと育つ環境なら、どんな進路でも安心して応援できるわ。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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