「獣医学部」って? 動物を診るだけじゃない、“命と社会”を支える学問
親: 獣医学部って、ペットのお医者さんになるための学部っていう印象だけど、それが全てなの?
子: 実はそれ、半分正解で半分間違いかも。山口大学の共同獣医学部では、犬や猫といった伴侶動物の診療だけじゃなく、家畜の健康管理、食の安全、公衆衛生、感染症対策、さらには人間と地球環境の健康を総合的に支えることまで学ぶんだよ。
親: えっ、人間の健康にも関わるの?
子: うん、それがいま注目されてる“ワンヘルス”って考え方。動物・人・環境の健康はすべてつながってるっていう国際的な視点で学ぶのが、この学部の大きな特徴なんだ。
学部の特徴|山口大学×鹿児島大学の連携で展開する“実践型獣医学教育”
● 西日本初の「共同獣医学部」制度
- 山口大学と鹿児島大学が連携して運営する獣医学部(定員30名ずつ)
- 基礎教育は山口大学、臨床実習は鹿児島大学附属動物病院でも実施
- 両大学の専門性・研究施設・人的資源を活かしたハイブリッド教育体制
● ワンヘルス(One Health)の視点を重視
- 動物と人間の共通感染症(例:鳥インフルエンザ・狂犬病など)への理解
- 地球規模での公衆衛生・環境衛生・食の安全に関わる力を育成
- 国際機関や自治体と連携した「動物から人間まで」支える医療を学ぶ
● 臨床・研究・現場教育を重視した6年間
- 教室の中だけでなく、牧場、診療所、研究所、食品工場などが学びの舞台
- 実験動物や大型動物の取り扱い、手術や診療の実地訓練も充実
- 英語文献読解・国際学会発表の機会もあり、グローバルな教育環境
学びの流れ|基礎から応用、そして臨床と社会貢献へと進む6年間
● 1〜2年次:動物と生命の基礎科学を固める
- 生物学・化学・生理学・解剖学など、生命科学の基礎を幅広く学ぶ
- 家畜の飼養管理や動物福祉など、動物との関わり方の倫理も重視
- 山口大学キャンパスでの全寮制やチーム学習によって仲間意識も強まる
● 3〜4年次:専門獣医学の領域へ本格突入
- 感染症学・内科学・外科学・繁殖学・寄生虫学・疫学など多様な科目群
- 牛・豚・鶏などの産業動物、犬・猫などの伴侶動物それぞれに特化した学び
- ラボ実習・プレ臨床トレーニングを通じて診療技術を身につける
● 5〜6年次:臨床実習と卒業研究で“獣医師”としての土台を完成
- 鹿児島大学附属動物病院での本格的な臨床実習(外来診療・入院管理・手術など)
- 公務員実習、動物検疫所、食肉衛生検査所など実社会と接する実地研修あり
- 卒業研究では、病理・感染症・バイオ医薬・動物行動などの最先端テーマにも挑戦
学生の雰囲気|命に真剣で、責任感が強く、優しい仲間たち
- 動物が好きという気持ちだけでなく、「命に関わる責任」を自覚した学生が多い
- 忍耐強く、几帳面で、観察力に優れたタイプが多い
- チーム実習やローテーション型実習で支え合う雰囲気が自然にできている
- 獣医師という“国家資格職”を目指す仲間としての一体感が強い
主な進路|動物医療だけでなく、公衆衛生や研究、国際協力の道も
● 主な就職先・進路
- 小動物病院(犬猫中心の動物病院)
- 産業動物診療所(酪農・畜産農家への巡回指導など)
- 家畜衛生保健所・動物検疫所(厚労省・農水省・地方自治体)
- 食品衛生監視員(食肉衛生検査所など)
- 製薬・バイオ・ペット関連企業(研究・開発・臨床試験)
- 大学院進学 → 研究職・大学教員・国際機関職員 など
● 国家資格とキャリア支援
- 獣医師国家試験の合格率は全国的に高い水準を維持
- 臨床獣医師・公務員獣医師どちらも充実した就職支援体制
- 国際保健機関(OIE・FAOなど)を視野に入れた教育もあり
保護者の方へ|どんな子に向いている?
- 動物が好きで、命と真摯に向き合いたい気持ちを持つ子
- コツコツ継続できる学力と体力を備え、粘り強く取り組める子
- 人と動物と社会のつながりに関心を持ち、幅広い視野で考えられる子
- 理系分野(生物・化学・数学)が得意で、論理的に考えるのが好きな子
- 国家資格職に就き、専門性をもって社会貢献したい意志のある子
子: 獣医学って、動物のことだけを学ぶと思ってたけど、実際は人間社会の健康や未来にも深く関わってるんだよね。
親: 命をつなぐって、動物と人間の境界線を越えるような学びなのね。大変な道だけど、すごく意義のある仕事だと思うわ。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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