「社会安全学部」って? 災害・事故・事件を防ぎ、社会を守るための学び
親:
「社会安全」ってどういう意味なの?警察とか消防のイメージ?
子:
一部そういう面もあるけど、それだけじゃないよ。災害・事故・テロ・感染症・犯罪…私たちの生活にあるあらゆるリスクに対して、「どう防ぐか」「どう備えるか」「どう対応するか」を研究する学部なんだ。
親:
なるほど、“起こる前に防ぐ”とか、“起きたときに被害を最小限にする”とか、そんな感じ?
子:
まさにそう。しかも現場主義で、「自分の足で確かめ、考え、提案する」っていう教育スタイルが特徴なんだよ。
学びの特徴|文理融合で“人の命を守る知恵”を育てる
リスクを科学し、対策を構築する力を育成
- 災害科学、犯罪防止、事故分析、感染症対策など、現代社会のリスク全般を扱う
- データ分析やシミュレーションを活用して、科学的根拠に基づいた安全政策を提案
- 工学・社会学・心理学・法学など、幅広い視点を取り入れた「学際的アプローチ」
フィールド重視の“現場直結型”教育
- 防災訓練・まち歩き・自治体ヒアリング・避難所運営など、地域と連携した活動が多数
- 実際の被災地やリスク地域を訪問し、「机上ではわからない課題」に触れる
- 官公庁や企業と協働した課題解決型プロジェクト(PBL)にも参加可能
地域・社会との連携で「安全文化」を広げる
- 小学校での防災教育支援、高齢者への避難指導、地域見守り活動なども学びの一部
- 「安全」は専門家だけでなく、社会全体が関わるテーマという視点を重視
- 子ども・高齢者・外国人など、多様な立場を考慮した提案力を磨く
学びのステップ|座学と実践を行き来する4年間
● 1年次|「安全とは何か?」を学ぶ土台づくり
- リスクマネジメント入門、災害と社会、公共政策基礎
- 安全に関わる法律・制度・歴史的背景を理解する
- 地域の避難所運営やまち歩き演習を通じて、課題意識を養う
● 2年次|現場視点の実践へと踏み出す
- 防災計画、犯罪予防、インフラ点検、心理的支援など分野別の専門科目を履修
- 近畿圏の自治体と連携したリスク評価プロジェクトに参加
- データ収集・分析・プレゼンテーションの技術を習得
● 3年次|高度なPBLと研究活動の開始
- ハザードマップ作成、避難行動シミュレーション、まちづくり提案などの実践演習
- 国内外の災害被災地へのフィールドワークを実施(例:東北、熊本、タイ、台湾など)
- 自ら課題を見つけ、提案にまとめる調査型ゼミに所属
● 4年次|卒業研究とキャリア形成
- 卒業論文では、地域防災計画の評価、交通安全政策提案、避難行動の心理研究など多彩なテーマ
- 官公庁・企業でのインターンシップや就職活動と並行し、社会との接点を強める
- 学会発表や行政プレゼンに挑戦する学生も多数
実践事例|「社会に向けた安全の提案」を学生が行う
- 南海トラフ地震を想定した地域避難モデルの開発
- 通学路の危険個所点検プロジェクト(自治体と連携)
- 災害時に外国人を支援する多言語マニュアル制作
- 交通事故が多発する交差点の改善提案
- 地域の見守り活動に参加し、高齢者の孤立リスクを調査
子:
自分の調べたことや提案が、実際に行政や地域の人に使われることもあるんだよ。
親:
大学の学びが“リアルな社会”につながるって、すごく心強いわね。
学生の雰囲気|まじめで熱心、“支える力”に魅力あり
- 防災ボランティアや地域活動に関心のある学生が多い
- 静かだけど芯のある学生が多く、プレゼンや議論にも前向き
- グループワークが多く、協調性・柔軟性を大切にする文化
- 文理混在で多様な価値観が交錯し、新しい視点が得られる
就職・進路|“安心・安全”を支える幅広い分野で活躍
主な進路先
- 官公庁(地方自治体の危機管理部門、防災・防犯関連部署)
- 民間企業のリスクマネジメント部門、保険会社、インフラ系企業
- 警察・消防・自衛隊などの安全系公務員
- 教育機関、NPO、国際機関などの防災・安全啓発担当
- 大学院進学(防災・公共政策・心理学・建築安全など)
キャリア支援体制
- 公務員志望者向けの対策講座あり(一次試験〜面接対策まで)
- 官民連携のPBLで実務経験を積みながら志望業界を探索
- OBOGネットワークによる職場訪問・相談会も実施
保護者の方へ|こんなお子さんにおすすめです
- 人や社会を守る仕事に興味がある子
- 災害・犯罪・事故など、社会課題を根本から防ぎたい子
- 現場に出て調べ、提案し、動くことが好きな子
- プレゼン・報告書作成など「伝える力」を育てたい子
- 将来は公務員、NPO、コンサルなど公共性の高い仕事を目指す子
子:
「人の命を守る」って、特別なスーパーヒーローの話じゃなくて、地道に社会を支える力なんだって学んだよ。
親:
社会に必要な力ね。責任感が育ちそうで安心したわ。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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