「農学群」って?“福島だからこそ”の農学がある!
親: 農学って全国どこでも似たようなことを学ぶのかと思ってたけど、福島大学の「農学群」って何か特別なの?
子: うん、福島大学の農学群は、東日本大震災のあとに設立されたんだよ。だから「震災後の農地再生」「放射線と農」「地域と環境の再生」みたいな、福島にしかできない農学を軸にしてるんだ。
親: それはすごく現実的で、意味のある学びね。
子: まさにそう。ここでは、農業・環境・地域社会をまるごとフィールドにして、“人と自然が共に生きる”社会の形を模索する学びが広がってるんだよ。
学群の特徴|環境・農業・地域課題に挑む“ふくしま型農学”
- 全国でも珍しい「農学群」という独立群体制:環境共生農学を中心とした一専攻制
- 震災後に創設された、福島独自の農学教育:復興、環境再生、放射線対策の視点が軸
- フィールド重視の実学教育:実習・演習・地域連携が豊富
- 自治体・企業・NPOと連携した地域課題解決型学びが多数
- 「文理融合」や「実社会との協働」を重視した独自カリキュラム
学びのステップ|自然と社会を“自分ごと”として学び抜く4年間
● 1年次:環境共生農学の基礎を幅広く学ぶ
- 生物学・化学・地学・統計など理系の基本に加え、社会科学も取り入れた導入教育
- 「ふくしまの農と環境」など地域特化型の必修科目で、現地を歩いて地域を見る体験が豊富
- 全体ゼミナールで、少人数の仲間と議論・発表の力も養う
● 2年次:農業・環境・地域を多角的に掘り下げる
- 作物学・土壌学・生態学・農業経済学・環境政策などを幅広く履修
- 実験・実習が増え、「見る・測る・育てる・考える」経験が積み重なる
- 現地フィールド(飯舘村・南相馬など)での調査活動も本格化
● 3年次:地域に出て、課題に取り組むプロジェクト型学習
- 「復興農学演習」や「農村フィールド演習」で地域の実態に深く関わる
- 放射線に関する測定・分析・風評払拭に関するプロジェクトも展開
- 研究室に仮配属され、自分の関心分野(農・環境・社会)を深掘りし始める
● 4年次:卒業研究で“自分なりの貢献の形”をつくる
- 卒業研究テーマ例:
- 「除染後農地の作物生育と土壌微生物の回復」
- 「震災後の農村コミュニティの再生プロセス」
- 「水田生態系における生物多様性保全のあり方」
- 「有機農法による耕作放棄地再活用モデル」
- 調査・分析・提案・実践まで、現地で役立つ学問を自分の力で完成させる
現場で学ぶ!“ふくしま型農学”のリアルな取り組み
- 飯舘村・川俣町での農業再生支援:土壌モニタリング・農作物の放射線測定
- 有機農業実習(会津地方など):地元農家との連携で「持続可能な農法」を体験
- 農村のコミュニティづくり支援:若手移住者・高齢農家との協働ワークショップ
- 河川や森林の生態調査:流域保全・里山管理をテーマにした環境演習
- 復興イベント・市民講座の企画運営:地域と学生がともに歩む「共創型教育」
親: 実際の地域に出て、学びながら役に立ってるって素晴らしいわね。
子: 「勉強」だけじゃなくて、「誰かのために動く学び」って感じなんだよ。
学生の雰囲気|“真面目さと優しさ”がにじむ、地域志向の仲間たち
- 自然や農に興味がある、素朴でまっすぐな学生が多い
- 福島県出身者だけでなく、県外・都市圏からの学生も多く、多様な背景が混ざる
- 地域活動に熱心で、農家・行政・NPOとのネットワークがある学生も珍しくない
- 協調性があり、仲間と一緒に課題解決に取り組む姿勢が強い
- 実習やプロジェクトで忙しいが、その分“現場力”が身につく環境
就職・進路|農・環境・公務・教育…幅広い進路が待っている
● 主な進路分野
- 公務員(県庁・市役所・農政課・環境部局など)
- 農業協同組合・農業法人・地域商社など、一次産業に直結する現場
- 環境コンサルタント・NPO職員・まちづくり会社
- 大学院進学(農学・環境科学・地域政策など)
- 教員(理科・農業・環境教育系)や理科実験補助職も人気
● 資格支援・就職サポート
- 技術系公務員試験対策講座を学内で実施
- 測量士補・環境プランナー・土壌医検定などの取得支援
- 農学群キャリア支援室による個別進路指導・OBOG交流も充実
保護者の方へ|どんな子におすすめ?
- 自然が好きで、農や環境に関心がある子
- 地域の人たちと関わりながら、社会の課題に取り組みたい子
- 社会貢献に興味があり、“人の役に立つ仕事”を将来に描いている子
- 外で動くのが好きで、実習・現場活動に前向きに取り組める子
- 福島の復興や地方の未来づくりに関心がある、地域志向のある子
子: 「農学」って、農業のことだけじゃない。環境、地域、社会のすべてがつながってるんだって、福島で学んで実感したよ。
親: 確かに。いまの時代に必要な「つながりを見つけて、動ける力」を育てる学びなのね。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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