「京都大学 工学部」って?社会の未来を設計する“知のエンジニアリング拠点”
親: 京大の工学部って、やっぱり優秀なエンジニアや研究者になる人が多いの?
子: そうだね。でも“エンジニア”っていうと機械や建物を作るイメージが強いけど、京都大学 工学部では人・社会・環境・情報など、もっと広い視野で未来社会をつくる力を育ててるんだよ。
親: つまり、ものづくりだけじゃないのね。
子: うん。技術だけでなく、倫理、経済、環境、文化も含めて「工学とは何か」を問い続ける場所なんだ。だから京大の工学部は、100年以上の歴史があるのに、常に“新しい”ことをしてるって感じ。
学部の特徴|「広く深く」×「探究の自由」が融合する京都大学の工学教育
● 6系統に分かれる学びのフィールド
- 【地球工学系】土木・都市計画・防災・資源工学
- 【建築学系】建築設計・空間デザイン・建築構造
- 【物理工学系】材料・ナノ・宇宙工学・放射線制御
- 【電気電子工学系】半導体・ロボティクス・通信技術
- 【情報学系】AI・ソフトウェア・数理工学・量子情報
- 【工業化学系】有機合成・電池・環境触媒・化学プロセス
● 学部を越えて交差する「学際的学び」
- 学年が進むにつれて、自分の専門を深めつつ、他の系統とも連携可能
- たとえば、「建築 × 環境」「AI × 医療」「材料科学 × 宇宙工学」などの組み合わせが活発
- 工学部なのにデザイン・芸術・法制度・倫理にまで学びが広がることも
● “研究ファースト”の環境整備
- 2年次から演習・実験・プロジェクトベース学習(PBL)が本格化
- 3年次から研究室に配属され、大学院生・教員とともに**“本物の研究”に加わる**
- 研究予算や設備も充実。世界レベルの研究に触れられる環境が整っている
学びの流れ|最先端を“自分の手で動かす”工学的成長の6年間(+大学院)
● 1年次:教養と基礎力の育成
- 数学・物理・化学のハイレベルな講義で基礎を固める
- 京大全体のリベラルアーツ(倫理学・語学・歴史など)も履修可能
- 「工学概論」などで工学が社会にどう貢献するかを探る科目も
● 2年次:系統ごとに専門的な知識をインプット
- 土木なら構造力学、情報ならプログラミング、化学なら熱力学…
- 同時に、設計演習・材料実験・電子回路実験など**“手を動かす授業”**も本格化
- チームで課題に取り組む協働型演習も盛ん
● 3年次:研究室配属・PBL・高度実験が開始
- 各研究室に配属され、自分のテーマで実験・論文・プロトタイプ開発などを進める
- プロジェクト例:
「CO₂吸収型コンクリートの開発」
「自然災害に強いまちの設計」
「視覚障害者向けナビゲーションAI」
「スマートグリッド制御アルゴリズムの提案」
● 4年次:卒業研究と社会との接点へ
- 卒論執筆と並行して、企業・行政・地域との共同研究に参加する学生も多数
- 国際学会での発表や、論文執筆に挑む学生も
- 希望者はこの時点で大学院(修士課程)進学準備も開始
京都大学 工学部ならではの実践環境|“未来社会”をキャンパスでつくる
- 【桂キャンパス】…最先端の研究施設が集まる知の拠点(アクセス良好)
- 【国際連携】…MIT・ETH Zürich・シンガポール国立大などとのダブルディグリープログラムも
- 【企業連携】…パナソニック・トヨタ・NTT・積水化学・村田製作所などと共同研究多数
- 【起業支援】…学生ベンチャー支援制度あり。研究成果の社会実装を大学が支援
- 【災害復興・環境プロジェクト】…被災地支援・脱炭素技術開発にも積極的に関与
学生の雰囲気|“賢くて変人”が集う、自由で誠実なエンジニア集団
- 一見おとなしい人も多いが、内に情熱を秘めたタイプが多い
- 独自の視点を大切にし、自分なりのやり方で課題に向き合う
- 勉強や研究にはとてもストイック。議論・実験・徹夜のコード書きも日常茶飯事
- 芸術・哲学・ゲーム・ロボット…関心が多岐にわたる人が多く、“オタク力”が強い
- 「何のために技術を使うか」を常に考え続ける、倫理観と使命感のある空気
就職・進路|日本中・世界中で“京大工学”が通用する時代へ
● 主な業界・職種
- 自動車(トヨタ・ホンダ・デンソーなど)
- IT・ソフトウェア(NTTデータ・富士通・楽天・サイバーエージェントなど)
- 電機・機械(パナソニック・三菱電機・村田製作所など)
- 化学・素材(旭化成・住友化学・信越化学)
- 建設・インフラ(大林組・清水建設・JR東海・国土交通省)
- ベンチャー起業・海外大学院進学も近年増加中
● 大学院進学率は80%以上
- 工学研究科・情報学研究科・エネルギー科学研究科などに進学
- 企業研究所や大学教員を目指す人も多い
- 修士卒での就職も非常に好調。“京大工学”ブランドは業界内で抜群の信頼
保護者の方へ|こんなお子さんにぴったり!
- 数学や物理が得意で、理論と実践の両方に興味がある子
- 新しい技術・仕組み・社会のあり方を考えるのが好きな子
- 「なぜそうなるのか」を深掘りしたい探究心が強い子
- デザイン・プログラミング・構造解析など、手を動かして学ぶことに意欲がある子
- 将来、研究者・技術者・起業家・社会のインフラを支える仕事を目指したい子
子: 京大の工学部って、自由だけど放任じゃない。自分の問いを見つけて、試行錯誤を楽しむ力を育ててくれる場所なんだ。
親: “技術力”だけじゃなく、“社会をどう見るか”まで育てるんだね。これからのエンジニアって、やっぱりそういう目が必要なんだわ。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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