「薬学部」って?“くすり”を超えて“いのち”を支える科学の総合拠点
親: 薬学部って、薬剤師になるための学部っていうイメージがあるんだけど…。
子: それも正解だけど、それだけじゃないよ。大阪大学 薬学部は、薬の専門家として医療現場を支える薬剤師(6年制)と、くすりの未来を創る研究者(4年制)を同時に育てる学部なんだ。
親: じゃあ、進路の選択肢が2つあるってことね。
子: うん。さらに言えば、創薬・再生医療・遺伝子治療・がん医療・感染症・AI創薬など、社会課題に直結する最先端の分野で世界的に活躍できる力を育てる環境があるんだよ。
阪大薬学部の特色|「創る力」と「支える力」を併せ持つ総合薬学教育
● 2課程制:目的に応じて進む2つの道
- 薬科学科(4年制):
→ 創薬・生命科学・基礎医学などの研究者を育成
→ 大学院進学が前提。研究職・製薬会社・バイオ産業への進路が中心 - 薬学科(6年制):
→ 臨床薬剤師の育成。病院・薬局・医療現場で活躍する医療人を目指す
→ 卒業時に薬剤師国家試験を受験可能
● 教育・研究の伝統と革新が融合
- 日本最古級の薬学部のひとつ。創薬化学・薬理学・病態生理の基礎力が強い
- 同時に、iPS細胞・分子標的薬・AI創薬など**“くすりの未来”を見据えた研究が活発**
● 医学部・歯学部・工学部と連携する“医学融合教育”
- 阪大病院や歯学部、理学部との合同講義・演習・共同研究あり
- 医学的知識・倫理・チーム医療など、現場で求められる総合力を養成
学びのステップ|目的に応じた「4年制」と「6年制」の歩み
● 薬科学科(4年制)|研究者・創薬開発者を目指す道
1~2年次:理系基礎と薬学の土台を学ぶ
- 有機化学/分析化学/細胞生物学/分子生物学/物理化学など
- 実験スキルを磨きながら、「くすりの科学的な成り立ち」を理解
3年次:研究室配属・専門的探究の始まり
- 早くも研究室に入り、卒業研究テーマに取り組む
- テーマ例:
「がん細胞の薬剤耐性メカニズム」
「新規ウイルス感染抑制物質の合成」
「神経伝達物質と記憶形成の関係」
4年次:卒業研究+大学院進学準備
- 卒業論文の執筆・発表、学会参加も奨励
- ほとんどの学生が大学院(薬学研究科)に進学
- その後、研究職・製薬企業・大学教員などの道へ
● 薬学科(6年制)|薬剤師・医療職を目指す道
1〜2年次:薬学の基礎と医療リテラシー
- 医学・化学・生物・薬理の基礎を習得し、薬物の体内動態や作用機序を理解
- 医療人としての倫理・患者心理・社会制度もこの時期に学ぶ
3~4年次:薬剤師業務の専門知識を徹底的に習得
- 医薬品情報管理/服薬指導演習/DI演習(情報提供演習)など
- 医療安全・薬害の歴史・チーム医療の在り方を多面的に学ぶ
- 臨床現場を想定したシミュレーション演習が豊富
5年次:病院・薬局での長期実務実習(約22週間)
- 阪大病院や大阪府内の病院・薬局での臨床実習
- チーム医療に参加し、現場の薬剤師としての責任感を実体験
- 患者対応、医師・看護師との連携、記録作成などを実践
6年次:卒業研究+国家試験対策+進路決定
- 卒業論文では研究職への道も視野に入れた探究
- 国家試験対策講座が充実し、合格率は毎年全国トップクラス
- 病院就職、薬局、企業MR、地方公務員、大学院進学など進路多様
実践と連携|“薬学×現場×未来”の三位一体の学び
- 【病院連携】阪大病院での実務実習、がん専門薬剤師・感染症薬剤師からの直接指導
- 【製薬企業との連携】武田薬品・第一三共・中外製薬などと共同研究・インターン
- 【地域医療参加】地域薬局・在宅医療への同行実習/災害医療支援プロジェクト参加
- 【国際連携】アジア・欧米の大学と研究留学提携(ドイツ・台湾・カナダなど)
学生の雰囲気|知的でまじめ、でも温かい“文理融合”タイプが集まる
- 理系のなかでも、生物が好き・人と関わりたいという傾向の学生が多い
- 4年制は研究志向、6年制は臨床志向と明確な違いもあり
- 地道な学習が得意で、努力型・協調型の学生が多い
- 実習でのグループワーク、チーム活動を通じて人間関係が強くなる
- “ガリ勉”というより、“目的を持った学び”を大切にする空気
就職・進路|薬剤師から研究職まで、確かな将来設計
● 薬学科(6年制)
- 病院薬剤師(阪大病院/国立病院/市立病院など)
- 調剤薬局(日本調剤/スギ薬局/クオールなど)
- 製薬企業MR(アステラス/中外製薬/ノバルティスなど)
- 行政薬剤師(大阪府庁/厚労省/保健所など)
● 薬科学科(4年制)
- 製薬会社研究職/品質管理職/開発部門
- 化学メーカー/食品会社の開発職
- 大学院進学後、国立研究機関や大学研究職に進む人も多数
保護者の方へ|こんなお子さんにぴったりです
- 化学・生物が好きで、くすりや健康に関心がある子
- 医療に関わりたいけど、医師とは違う形で貢献したいと考える子
- 丁寧に考え、人と接することに喜びを感じるタイプの子
- 探究心があり、じっくり取り組むタイプの理系型
- “目立つより支える”を大切にできる、信頼される人になりたい子
子: 阪大の薬学部に来て感じたのは、「薬を学ぶ=人の生き方を支える」ってこと。
親: 目に見える効果だけじゃなく、人の心や生活を支える大事な仕事なのね。
本記事は、早稲田大学国際教養学部に在籍し、進学塾を主宰する筆者が保護者の方に向けて執筆しました。内容は2024年度時点の情報をもとにしています。最新情報は大学公式サイトをご確認ください。
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